ニジアカ修学旅行2026 ―― フリースクールだからこそできる、学校では絶対にできない旅

不登校の子どもたちが通うフリースクール『NIJINアカデミー』の修学旅行が終わりました。今回で4回目。校長の私から見た振り返りを、ひとつの物語として綴っていきたいと思います。

フリースクールNIJINアカデミーの修学旅行(大阪・広島・淡路島)の集合写真

4回目の修学旅行は、大阪・広島・淡路島の3箇所で同時開催しました。

目次

行き先は、子どもたちが決める

NIJINアカデミーの修学旅行には、ひとつの大きな特徴があります。それは、行き先を子どもたち自身が決めるということです。

「ここへ行きたい」「ここでこんなことを学びたい」。生徒がプレゼンをして、それを全校投票にかける。そこから旅は始まります。大人がお膳立てしたコースをただ歩くのではなく、自分たちで問いを立て、自分たちの足で旅をつくりあげていく。この最初の一歩にこそ、私たちが大切にしている理念「主体の約束」が表れています。

すべては、ここから始まりました。2月に開催した「修学旅行プレゼン」のアーカイブ動画です。子どもたちが本気で行き先を提案する姿を、ぜひご覧ください。

はじめての「3箇所同時開催」

今回はじめて挑戦したのが、大阪・広島・淡路島の3箇所での同時開催でした。

生徒数が増えてきた今だからこそ、一人ひとりの物語や個性、その子の主体性がしっかり発揮される場をつくりたい。そしてNIJINアカデミーがチームとしてさらに成長していくために、各校舎の校舎長が責任を持って、それぞれの旅を自分たちの手で練り上げていく。そんな思いでの挑戦でした。

大阪・広島・淡路島の3箇所で同時開催したフリースクールの修学旅行

行き先はすべて、生徒のプレゼンと全校投票で決まりました。

旅は、うまくいかないからこそ力になる

SNSにも書いたとおり、旅は楽しくも、とても難しいものです。

今回も直前に台風が来て日程をずらし、保護者の皆さんと何度もやりとりを重ねました。旅は本当に想定外の連続です。うまくいかないこと、予想もしていなかったこと、突然のピンチ。けれど、それをどう乗り越えるか――その過程でこそ、子どもたちにも私たちにも、確かな力がついていく。改めて、そう感じた旅でした。

発想は、移動距離に比例する

私自身は、学校の講義をほとんど聞いてこなかった人間です。そのかわり、学生時代に47都道府県を旅して回り、今も国内外、世界中を旅しながら生きています。

「発想は移動距離に比例する」とも言いますが、その土地の風土や歴史を学び、多様な人と触れ合った経験は、その子の人生を豊かに彩っていく。私は本気でそう思っています。だからこそ修学旅行は、NIJINアカデミーにとってただのイベントではなく、学びそのものなのです。

私がふだんどんな人間で、どんな思いで教育に向き合っているか――そのキャラクターは、YouTube 「脱・学校のタツロー校長」 を見ていただけると、きっと伝わるはずです。

これまでの歩み

ニジアカの修学旅行は、毎回「ありえない場所」へ行ってきました。そしてそのどれもが、一人の子どものプレゼンから始まっています。

1回目 ― 香川県・直島「アートを学ぶ」

不登校というのは、人と違う特性や人生を歩んでいるということでもあります。でもアートとは、ある物事や人生を“違う見方”で見てみること。アートを通じて不登校は希望に変わる――そんな一人の中学生のプレゼンから、直島行きは始まりました。

2回目 ― ICC福岡「本気のビジネスの場へ」

小中学生がまず参加しないような、一流のビジネスマンが集う本格的なカンファレンスに乗り込み、なんと2部門で、うちの小中学生が優勝するという快挙を成し遂げました。

ICC福岡のビジネスカンファレンスに参加したNIJINアカデミーの生徒

3回目 ― 北海道・白老町「自分のルーツを知る」

「ひいおじいちゃんがアイヌで、自分のルーツを知りたい。みんなにも学んでほしい」。一人の小学生のプレゼンから、これもまた普通ならありえない白老町への旅が実現しました。

北海道・白老町でアイヌ文化を学ぶ修学旅行の子どもたち

そして4回目 ―― 3つの旅が、同時に動き出した

今回の行き先は、大阪・広島・淡路島。3つのチームが、それぞれの物語を抱えて、同じ空の下を同時に旅立ちました。一つずつ、ご紹介させてください。

大阪チーム ―― 学んでから、歩く

ひとことで言えば、「問いを持って巡る」旅。

大阪チームの探究は、出発前から始まっていました。大阪城の事前授業では、「なぜ堀があるの?」「石垣にはどんな意味があるの?」という素朴な疑問から、お城の防御の仕組みを学習。昔の人たちの知恵と工夫に、子どもたちも目を丸くしていました。そして本番では、大阪城、海遊館、USJへ。仲間と協力しながら、自分で考え、自分で動く。事前に得た知識が、現地で“生きた体験”に変わっていきました。

大阪城を訪れたNIJINアカデミー修学旅行の大阪チーム

事前に学んだ「お城の仕組み」を、自分の目で確かめた大阪城。

広島チーム ―― 自分たちの足で、切り拓く

ひとことで言えば、「自分たちで決める」旅。

NIJINアカデミーとしては、はじめての中国地方でのリアルイベント。2泊3日で、広島市内、呉、宮島を、見て、歩いて、感じてきました。なかでも印象的だったのは1日目の自主研修です。自分たちで立てた計画が、うまくいったり、いかなかったり。そのたびに臨機応変に話し合い、自分たちの頭で判断する。思いどおりにならないことも全部ひっくるめて学びになり、仲間との絆もぐっと深まった3日間でした。

宮島を巡るNIJINアカデミー修学旅行の広島チーム

計画も判断も自分たちで。自主研修に挑んだ広島チーム。

淡路島チーム ―― 街に、貢献する

ひとことで言えば、「すべて自分たちでつくりあげる」旅。

淡路島チームが立てた問いは、「この淡路島で、自分たちが貢献できることはないか?」でした。たどり着いた答えが、淡路島名物・玉ねぎの“皮”の活用アイディア。教育の展示会EDIX2026の場に南あわじ市役所の方をお招きして活用法を発表し、玉ねぎの食べ比べまでやってのけました。

そして最終ミッション。子どもたちは淡路島の“広報大使”となり、子ども視点での「おっ玉ねぎポイント(魅力)」と「ちっ玉ねぎポイント(もっと良くなぁれ)」を、南あわじ市役所の方々の前で堂々とプレゼン。見事ミッションを完遂し、感謝状までいただきました。NIJINアカデミーと南あわじ市が、ついに“友好条約”を結んだのです(笑)。

淡路島の玉ねぎ活用を発表する修学旅行の淡路島チーム
南あわじ市役所でプレゼンするフリースクールの子どもたち

旅の道中も、学びは止まりません。渦潮や地層を目の前にして、「プレートってなんで動くんだ?」という疑問が湧く。「遠心力かな」「マグマの熱が関係しているのでは」。雑談から仮説が生まれ、探究が始まっていく。机の上では決して起きない学びが、淡路島のあちこちで生まれていました。

大阪・広島・淡路島――3箇所の旅の3日間の様子は、NIJINアカデミー公式X(@nijinacademy)公式Instagram(@nijin_academy) でも発信しています。子どもたちの生き生きとした表情を、ぜひのぞいてみてください。

そして、一人ひとりの物語

けれど今回の旅で私がいちばん胸を打たれたのは、行き先でも、成果でもありません。一人ひとりの、確かな成長でした。

去年はお母さんから離れられなかった子が、今年は一人で参加していました。去年は人前で絶対に笑わなかった子が、チャーミングな笑顔を見せてくれました。今までは疲れるとマイナスなことを言いがちだった子が、この旅では、疲れた仲間を自分から励ましていました。

みんな一人ひとりに成長があり、物語があります。この旅を通して大きく自信を取り戻した子もいる。勇気を振り絞って、本当にぎりぎりで参加できた子もいる。そして、どうしても参加できなかった子もいると思います。

そういった一人ひとりの思いに、私たち教師がきちんと思いを馳せながら教育をしていく。それがどれほど大切なことか――4回目の修学旅行は、改めてそのことを私に教えてくれました。旅はこれからも、子どもたちの物語を動かし続けていきます。

修学旅行を終えたNIJINアカデミーの子どもたちの笑顔

オルタナティブスクール小中高一貫校NIJINアカデミー 校長/株式会社NIJIN 代表取締役 星野達郎

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