今日という日を、私は一生忘れないと思う。
東京都主催のスタートアップアクセラレーション「NEXs Tokyo 連携事業創出プログラム(第7期)」のデモデー。その最終ピッチで、株式会社NIJINが最優秀賞(グランプリ)をいただいた。

今年3月の青山スタートアップアクセラレーションプログラム(ASAC)に続く、東京都主催プログラムでの2連覇。会場で名前が呼ばれた瞬間、頭に浮かんだのは投資家の顔でも審査員の顔でもなく、NIJINアカデミーで学ぶ子どもたちの顔だった。
5社しか選ばれない狭き門
NEXs Tokyoの東京スタートアップ枠に採択されるのは、わずか5社。全国から集まる優れたスタートアップの中で、元小学校教師の「現役の校長」が経営する教育ベンチャーが選ばれること自体、異例だったと思う。
採択からの5ヶ月間は、大企業や自治体との連携を模索し続ける日々だった。壁打ちで事業モデルを何度も壊しては組み直し、「教育で稼ぐこと」への葛藤とも向き合った。それでも走り切れたのは、「教育から国を照らす」という理念が一度もブレなかったからだ。
「不登校は才能」――5分間のピッチに込めたもの

デモデーの持ち時間は5分。私はこの5分に、NIJINアカデミーの子どもたち・保護者の声と姿と変容を、込めに込めた。
テーマは「不登校は才能」。
学校に行けないことは、劣等感でも罪悪感でもない。環境が合わなかっただけで、その子の中には必ず光るものがある。2023年9月に開校したNIJINアカデミーには、いま全国35都道府県から入学者が集まり、在籍は累計300名を超えた。希望する生徒の9割以上が在籍校の出席認定を得ている。暗い顔で家にいた子が、画面の向こうで誰よりも堂々と発表する。その事実だけで、「不登校は才能」という言葉は綺麗事ではなくなる。
会場とオンラインの大企業・投資家・行政関係者による投票で、「最も共感し応援したい企業」としてNIJINを選んでいただいた。この結果は、私たちの勝ちというより、「不登校」という言葉が「才能」や「個性」に変わっていく、その大きな追い風だと受け止めている。
もうひとつ嬉しかったのは、審査の中で「子どもだけでなく、先生のあり方を変えている」ことにも評価をいただいたことだ。NIJINは、全国47都道府県から500名以上の教員が学ぶ研修プラットフォーム「授業てらす」を運営している。子どもの希望は、先生の輝きから生まれる。不登校支援と教師支援は、私たちの中でひとつながりの挑戦だ。

▼当日のピッチ映像はこちら
起業を志すあなたへ
このブログを、起業を志して検索でたどり着いた方が読んでいるかもしれない。そんなあなたに、今日の私から伝えられることは3つある。
1. 実績より、課題への当事者性が人を動かす。私は元教師で、経営の専門家ではない。それでも勝てたのは、誰よりもこの課題の現場にいたからだ。
2. アクセラレーションプログラムは「箔」ではなく「壁打ちの場」。5ヶ月間で得た最大の資産は賞ではなく、事業を磨き続けた対話の量だった。狭き門でも、挑む価値は必ずある。
3. ピッチは数字ではなく、物語で語る。審査員も投資家も人間だ。5分で心が動くのは、スライドの完成度ではなく、そこに映る「あの子」の変容だった。
賞は通過点にすぎない。今日からまた、「幸せにすると決めたあの子」に向き合う。
教育から国を照らす。
株式会社NIJIN 代表取締役 星野達郎

