【通信制高校の立ち上げ】不登校支援でなく「人生を自分でつくる場所」をつくりたい|元高校教師の挑戦

通信制サポート校の先生 あいあい 

「学校という枠組みの中で、静かに苦しくなっていく子を救いたい」―そう願いながら、システムの中で自らも息苦しさを感じていた「あいあい」こと田中亜衣さん。公立高校の教員を経て、現在はNIJINアカデミーで小学生から高校生までの子ども達と関わっています。4月から開校した通信制サポート校「ニジ高」についてもお話を伺いました。

不登校の子を、「困った子」ではなく「面白いポテンシャルを持つ子」と捉える

プロフィール  田中 亜衣さん (あいあい) 30代
高校教員として働く中で、「学校に来れている子」だけを見ている感覚に苦しくなり、学校の外の学びに関心を持つように。現在はNIJINアカデミーでメタバースやリアル教室、通信制サポート校「ニジ高」の担任を兼任。名古屋ではリアル教室の運営にも挑戦中。子どもの“好き”や“得意”を社会とつなげながら、企業や地域と一緒に学びをつくっている。

今NIJINではどんな仕事をしていますか?

メタバースで全国の子どもたちと関わりながら、週1日は名古屋中村校の運営。そして通信制サポート校のNIJIN高等学院(通称「ニジ高」)の担任を兼任しています。

朝はメタバースで子どもたちと体育をするところからスタート。そこからSlackやoViceで生徒と話したり、保護者の方とのやり取りを重ねます。昼間は企業の方々と「子どもたちとこんな化学反応を起こせませんか?」と打ち合わせをし、夕方は高校生の企画相談に乗る。そんな日々です。

正直に言うと、リモートという働き方に対して最初はもっと孤独なものだと思っていました。でも、実際はその真逆。画面の向こうで、毎日誰かの人生が確実に動いていく感覚があるんです。

例えば、以前「EDIX(日本最大級の教育展示会)の会場に行くのなんて面倒くさい…」と言っていた子が、当日誰よりも長時間いて、ガンガン社会人相手に議論を交わしていたり。「チャットでのやり取りしかムリ…」と心を閉ざしていた高校生が、ある日突然、自分の声で想いを届けてくれたり。

学校の先生をしていた頃よりずっと、“この子がどうありたいのか、どうなりたいのか”という本質的な部分で関われている。そう実感する瞬間が、毎日積み重なっています。

ー高校の先生としてのキャリアから、なぜNIJINアカデミー、そしてニジ高への参画を決めたのですか?

学校に来れなくなる子、保健室で過ごす子、そして「頑張れ」と言われるほど動けなくなる子たち。学校現場では、不登校が起こると「原因は誰にあるのか」と、本人やご家族、そして担任までもが互いに自分を責め合ってしまうような、そんな息苦しさをずっと感じていました。その先には、どうしても「無理をしてでも学校に復帰させること」という正解しかないように思えたからです。

そんな時に出会ったのがNIJINアカデミーです。「学校に戻ることだけが教育の正解ではない」と、本気でそう言い切る人たちがそこにいました。

そして子どもたち。ゲームばかりしていた子が自らゲームを作る側になったり、顔出しできなかった子がイベントを企画したり、生き生きと輝いていました。不登校の子を「困った子」ではなく「面白いポテンシャルを持つ子」として捉える。その新しい視点に触れたとき、救われたのは私の方でした。「学校に戻ること」以外の選択肢があることを知り、「誰も責めなくていいんだ。こういう選択肢があっていいんだ。」と心から思えたからです。今年4月に新しく開校したニジ高も同じ。ここは「学習の遅れを取り戻す場所」ではなく、「自分の人生を自分でつくる場所」だと確信しています。

生徒が“学校の中だけじゃ出会えなかった自分”に出会うために

―ニジ高ならではの仕事の難しさや、やりがいを教えてください。

ニジ高って、文部科学省が定めた基準通りにだけしてればいい仕事じゃないんです。「この子の“好き”、どうやったら実社会とつなげられるだろう。」「この企画、どこの企業や誰と組んだら面白くなるかな。」そんなことをずっと考えています。正解も正しい指導法なんていうのもない。まっさらなところから手探りで、その子が輝くゴールに向かって進む毎日です。

正直、私はメールとか事務作業とかめちゃくちゃ苦手で、追い込まれて「うわー!」ってなってる日も普通にあります(笑)。でも、企業の方が高校生の話を本気で聞いてくれ、「そのアイデアいいね」って対等に見てくれる瞬間がある。その時の子どもの顔が、本当に違うんです。“学校の中だけじゃ出会えなかった自分”に出会っていく感じ。そこに立ち会えるのは、この仕事の一番面白いところですね。

― 印象に残っている生徒のエピソードがあれば教えてください。

ゆうたっていう生徒がいるんです。彼はこれまでスポーツをすごい一生懸命やってきた子で、でもある時から事情があって、そこから離れてしまった。で、つまらなくなってたときに「ニジ高」を見つけてくれて、「ここなら楽しそう!」って入学を決めたそうです。最初は様子を伺っているところもあったのですが、みんなと少しずつ話をしはじめるようになり、そんな彼が「みんなにも自分が好きなスポーツの楽しさを知ってもらいたい!」と今、体育祭を企画しています。彼は今回の企画のリーダーになり、すごくいきいきしていている表情を見ると、私自身もニジ高に挑戦してみて本当によかったと感じます。

不登校支援というより、“人生が動き出す場所”を作りたい

ーニジ高、そしてニジアカ・リアル校の先生として、これから挑戦したいことは何ですか?

これからは、メタバースとリアルがもっと自然につながる学びを作っていきたいです。家から出られない子も、メタバースで全国の仲間とつながれる。リアル教室に来れば実際に友達と出会える。「どっちもある」って、すごく大事だと思っています。

私はフルリモートでニジ高、ニジアカの先生を、そして住んでいる名古屋ではリアル教室も開いているんです。リアル教室では、小学生から高校生までの子どもたちと一緒に商品開発をしたり、地域を巻き込んだお祭りを企画したりしています。勉強だけじゃなくて、“好き”が社会とつながる経験をもっと増やしたい。将来的には、子どもも大人も「自分の“好き”ってもっと言っていいんだ」って思える場所をつくりたいんです。不登校支援というより、“人生が動き出す場所”を作りたい感覚に近いかもしれません。

― これからのキャリアや働き方に悩んでいる、現役の学校の先生方(読者)に向けて、メッセージをお願いします!

先生って、本当に真面目な人が多いと思います。だから、「もっと頑張らなきゃ」って、自分を削り続けてしまう。私もそうでした。でも今振り返ると、一番大事だったのって、「自分がワクワクできてるか」だった気がします。子どもって、完璧な先生より、“楽しそうに挑戦してる大人”をよく見てる。失敗しても、「やばい助けて〜!」って言いながら動いてる大人の方が、案外子どもは楽しそうに見ています(笑)。

もし今、「このままでいいのかな」って少しでも思ってるなら、その感覚を無視しないでください。学校の外にも、教育はあります。そして、自分自身が少し呼吸しやすくなる働き方も、ここにはあります。

▼ニジ高についてはこちら

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