「学校に行っていない」を、
「自分を表現する時間」へ。
2026年3月29日、NIJINアカデミー校長・星野達郎が 「2025年度 臨床美術学会 特別講演会」に登壇しました。 演題は「不登校が希望に変わる 〜『ピカソの視点』と、多様な個性が咲くための心理的安全性〜」。 不登校の子どもを「学校に行けていない」という一つの基準だけで見るのではなく、 自己表現や創造性の中にある可能性をどう見つけるか。 NIJINアカデミーとTOPPAN芸造研の実践をもとに、新しい子どもの見方を共有しました。
オンライン開催
・一般
WHAT IS CLINICAL ART?
上手に描くためではなく、
「自分を表現する」ための美術。
臨床美術は、芸術的な創作活動を通して五感を刺激し、 感性の覚醒や回復を目指す実践です。 臨床美術学会では、医学・福祉・教育などと連携しながら、 美術と感性の関係や、表現の可能性を研究しています。
大切なのは、誰かが決めた「正解」に近づくことではありません。 一人ひとりが感じたものを、自分なりの色や形として表すこと。 その考え方は、子どもの多様な個性を認める教育とも深く重なります。
描き方や技術を一律に評価するのではなく、 五感を使い、感じ、選び、表現するプロセスを大切にする。 だからこそ、言葉だけでは表現しづらい子どもにも、 自分を外へ出す別の入り口が生まれます。
REFRAME FUTOKO
不登校の時間は、
本当に「空白」なのか。
学校に行かなくなると、「勉強が遅れる」「社会から離れる」「何もしていない」と見られやすくなります。 その視線は、子ども自身にも届きます。 学校に行けていないという事実だけで、自分の価値まで低く感じてしまうことがあります。
NIJINアカデミーでは、その時間を別の角度から見ます。 学校と距離を置いたからこそ、自分の好きなことに没頭できる。 絵、音楽、ゲーム、研究、ものづくり。 そこから初めて見えてくる才能もあります。
= 遅れている
一つの基準だけで見ると、 「できていないこと」ばかりが見えてしまう。
表現できる時間
視点を変えると、その子がすでに持っている感性や可能性が見えてくる。
TWO LENSES
子どもの可能性を開く、
2つの視点。
講演の中心に置かれたのが、「ピカソの視点」と「心理的安全性」です。 固定された一つの見方から離れること。 そして、自分を出しても否定されない環境をつくること。 この二つが重なったとき、子どもは自分から表現し、動き始めます。
「ピカソの視点」
固定観念から離れる
「子どもはこうあるべき」「学校に行くのが普通」という一つの見方から離れ、 その子にしかない感性や表現を価値として見る。 同じ出来事でも、見る角度を変えれば意味は変わります。
心理的安全性
自分を出しても大丈夫
間違えても、変わったことを言っても、否定されない。 その安心感があるからこそ、子どもは「やってみたい」を表に出せます。 主体性は、指示ではなく安心できる関係の中から生まれます。
CHILDREN’S EXPRESSION
言葉にできなくても、
表現できることがある。
子どもの気持ちは、いつも言葉で説明できるとは限りません。 「どうしたの?」と聞かれてもうまく答えられない。 でも、色を選ぶこと、形をつくること、手を動かすことならできる場合があります。
アートには、会話とは違う自己表現の入口があります。 そして、自分がつくったものを誰かに受け止めてもらう経験は、 「自分を出してもいい」という小さな自信につながっていきます。
NIJIN × TOPPAN GEIZOKEN
理論ではなく、
実際のフリースクールで試した。
今回の講演の背景には、TOPPAN芸造研との実践があります。 NIJINアカデミーは2025年5月、TOPPAN芸造研と連携して アートに特化したハイブリッド型フリースクール 「NIJINアカデミーTOPPAN校」を開校。 同年11月までの半年間、企業内で臨床美術の専門講師によるプログラムを実施しました。
正解のないアートを通して、 自分の色や形を否定されずに表現できる時間をつくる。
自分がつくった作品を人に見せ、 認めてもらう経験が次の行動へのきっかけになる。
学園祭で作品を販売したり、 メタバース校舎で発表したりと、新しい挑戦へつながっていく。
WHAT HAPPENED NEXT?
表現できたことが、
次の挑戦につながった。
半年間の取り組みの中では、 アートの時間だけで完結しない変化も生まれました。 NIJINアカデミーが実践を振り返ったレポートでは、 作品づくりをきっかけに、学園祭での出店や人前での発表など、 新しい行動へ踏み出した子どもの姿が紹介されています。
誰かの正解ではなく、 自分の感覚を使って表現する経験を重ねる。
学園祭では自らショップを出店。 作品を並べ、実際に購入してもらう経験も生まれました。
リアル校で培った表現力が、 メタバース校舎で初めて発表する挑戦にもつながりました。
THE ESSENCE
アートが目的なのではない。
「自分を出せる」ことが大切。
すべての子どもが絵を好きになる必要はありません。 大切なのは、自分が感じたことや考えたことを、 安心して外へ出せる場所があることです。
それが絵の子もいれば、ゲームの子もいる。 研究、音楽、スポーツ、ものづくりの子もいる。 一人ひとりの表現の仕方を認めることが、 「自分にもできる」という感覚と、次の主体的な行動を生みます。
大人の「見方」を変える。
「できていないこと」を探すのではなく、 その子がすでに持っている感性、得意、興味を見る。 視点が変われば、同じ子どもの中に別の可能性が見えてきます。
多様な個性が、
安心して咲ける教育へ。
星野達郎は、不登校支援、心理的安全性、教育の多様性、 社会共創など、NIJINアカデミーで実践してきた教育をもとに、 学校・大学・企業・学会などで講演を行っています。

