株式会社NIJINは、渋谷区のスタートアップ認定制度「S-Startups」第2期の認定企業10社に選ばれました。認定された事業は、不登校オルタナティブスクール「NIJINアカデミー」。教育課題を学校や家庭だけで抱えるのではなく、渋谷区、企業、投資家、地域とともに解決するスタートアップとして、新たな共創の入口に立ちました。
都市の共創テーマへ。
「認定」は肩書ではなく、行政・企業・地域と実証や発信へ進むためのパスポート。NIJINアカデミーが、渋谷から教育の選択肢を広げる挑戦を始めました。
渋谷区認定|第2期認定企業
複数段階の選考を経て、渋谷の地域課題や世界への成長可能性を持つ企業を選定
株式会社NIJINが、2024年度のS-Startups認定企業として公表
S-Startupsは、完成した事業へ順位を付けるピッチコンテストではありません。創業初期のスタートアップを渋谷区が認定し、行政や民間企業との協業、実証実験、発信、海外ネットワークなどにつなげる制度です。
この記事では、S-StartupsとShibuya Startup Deckの仕組み、第2期の選考、教育が注力テーマに選ばれていた背景、NIJINとともに認定された10社、認定後に生まれた渋谷区民との接点までを紹介します。
S-Startupsとは?渋谷から世界へ成長する企業の認定制度
S-Startupsは、渋谷区と民間企業が連携するShibuya Startup Deckを通じ、渋谷から世界へ成長するスタートアップを認定・支援する制度です。「スタートアップが恐れずに挑戦し続けることができる土壌を作る」ことをミッションに、2023年度に始まりました。
Shibuya Startup Deckの「Deck」は、スケートボードの板が由来です。何度転んでも挑戦し、やがて高く跳べる企業を渋谷から生み出したいという意味が込められています。
認定企業を支えるのは行政だけではありません。SSD会員企業が、自らの起業・経営経験や専門知識、場所、ネットワーク、プロジェクトを持ち寄り、スタートアップの成長を産官連携で後押しします。
名称に込められた「3つのS」
文化、テクノロジー、人、企業が集まり、新しい価値を社会へ発信する都市。
異なる背景や専門性が交差し、予想しなかった協業やアイデアが生まれる環境。
スタートアップが挑戦を止めず、川の流れのように前へ進み続けられる土壌。
- 制度名
- S-Startups スタートアップ認定制度
- 第2期
- 2024年度認定企業
- 運営主体
- Shibuya Startup Deck(渋谷区と民間企業等によるコンソーシアム)
- 募集期間
- 2024年3月22日〜4月29日
- 認定企業発表
- 2024年7月11日
- 認定企業数
- 10社
- NIJINの認定事業
- 不登校オルタナティブスクール「NIJINアカデミー」
- 主な目的
- 地域課題の解決、世界への新しい価値提供、認定企業の成長・プレゼンス向上
「採択」「認定」「受賞」を分けて伝える
認定企業へ
応募・審査を通過した意味では「採択」と表現できますが、制度の公式名称は「スタートアップ認定制度」であり、渋谷区の発表も「認定企業10社」としています。順位を競う賞ではないため、本記事では「採択・認定」と「受賞」を区別します。
応募から認定まで――約3カ月の選考プロセス
会社情報、事業計画、渋谷区や地域への貢献可能性などを整理し、応募します。
応募要件と事業内容をもとに、次の選考へ進む企業が審査されました。
原則対面で事業を発表し、革新性、地域課題への貢献、成長可能性を伝えます。
事業計画だけでは見えない、起業家の考え方や制度への参加意欲などを確認します。
認定結果が通知され、7月から拠点利用や支援制度へのアクセスが始まりました。
株式会社NIJINを含む、多様な分野のスタートアップが正式に紹介されました。
第2期では「教育」が8つの注力募集テーマの一つ
S-Startups第2期は幅広い事業を対象としながら、渋谷区と渋谷区民が抱える課題への貢献が期待される8領域を、注力募集テーマに設定していました。
不登校支援は教育分野のサービスですが、その影響は子どもの学習だけにとどまりません。家庭の孤立、保護者の就労、教師の支援負担、地域の居場所、子どものウェルビーイングなど、都市が抱える複数の課題とつながっています。
NIJINの事業とS-Startupsの応募要件を照らし合わせる
渋谷区は、株式会社NIJINについて個別の採点結果や認定理由を公表していません。一方、第2期の応募要件と当時のNIJINアカデミーを照らし合わせることで、制度との接点は整理できます。
メタバース校舎を活用し、地域を越えて授業、仲間、教師へアクセスできる教育モデルを運営していました。
不登校の子どもや家庭へ、学校とは異なる学びと居場所を届ける選択肢を提示しました。
2023年9月の開校から1年未満ながら、全国の子どもが利用する教育事業として動き始めていました。
学校運営だけに閉じず、行政、企業、投資家と協業し、義務教育の在り方を変える意思を示していました。
認定が開く、6つの「共創パスポート」
S-Startupsの価値は、認定ロゴを掲げられることだけではありません。行政・企業・投資家・海外支援機関・地域住民へ事業を開き、実証と成長へ進むための具体的な支援が用意されました。
SHIBUYA BRIDGEのコワーキングスペースを無料で利用できる環境。
渋谷区やSSD会員企業と、連携・実証実験へ進むための調整支援。
海外スタートアップや支援機関などとのネットワーキング機会。
コミュニティマネージャーによるメンタリングやアドバイス。
StripeやGoogle Cloudなど、連携企業が提供するディスカウント。
イベントへの登壇や出展を通じ、地域やパートナーに事業を伝える機会。
第2期に認定された10社
教育だけでなく、ドローンショー、建設DX、女性のウェルビーイング、国際教育、資源循環、メンタルケア、ブレインテック、コミュニケーションツールなど、多様な事業が同じ第2期に選ばれました。
学校と地域社会をつなぐICTツール。PTA名簿・自治体向け校務管理などを展開。
ドローンショーを通じ、都市の広告・エンターテインメントを創造。
画像識別AIを用いた建設テック・工事写真DX。
AI・データを活用し、女性のウェルビーイングを支援。
まちなか留学やオンライン国際交流による多様性教育。
未焼却資源を回収し、再生素材へ変える循環型事業。
不登校オルタナティブスクール「NIJINアカデミー」を通じ、義務教育の在り方を変える。
AIストレスケアとコーチングによるB2Bメンタルケア。
ブレインテックとエンタメで感性・ヘルスケアを支援。
スマートフォンにかざして自己紹介できるICカードを開発。
認定が肩書で終わらなかった――渋谷区民と出会う場へ
認定後の2024年11月、NIJINアカデミーはS-Startups認定企業として、「第47回渋谷区くみんの広場 ふるさと渋谷フェスティバル」にブースを出展しました。
区民接点へ
来場者はメタバース空間に入り、遊びや学校生活を体験できました。子ども・保護者・教員などへ、新しい教育の選択肢を地域の中で直接伝える機会になりました。
当時の発表では、NIJINアカデミーには全国30以上の都道府県から約150名が在籍し、希望する生徒の9割以上が在籍校で出席認定を得ていました。オンライン上の教育事業が、渋谷の公共的なイベントへ出て、地域住民と対話する。この動きは、S-Startupsが目指す「区民への価値還元」を具体化した一例です。
株式会社NIJINの認定コメント
渋谷区様、渋谷区に集う企業・投資家の皆様と協業できることを楽しみにしております。
渋谷区の公式発表に掲載された株式会社NIJINのコメント。認定を名誉で終わらせず、行政・企業・投資家との協業へつなげる姿勢が示されています。
教育課題は、学校や教育委員会だけでは解決できません。デジタル技術、企業の知見、公共空間、地域住民、投資、発信など、異なる資源を組み合わせることで、新しい教育の仕組みは社会へ広がります。
S-Startups第2期への認定は、NIJINアカデミーが「教育サービス」から、渋谷の街とともに社会課題を解決するスタートアップへ踏み出した節目でした。

