株式会社NIJINは、2025年11月20日に大阪市のQUINTBRIDGEで開催された「Smart City OSAKA Pitch 2025」で優秀賞を受賞しました。発表したのは、メタバース校舎を活用し、学校へ通うことが難しい子どもへ学びと人とのつながりを届ける在宅教育支援モデルです。
大阪市・QUINTBRIDGEで開催
事前審査を通過した企業が登壇
NIJINを含む3社が選出
自治体・企業などが会場参加
この受賞のポイントは、単に教育サービスの新しさが注目されたことではありません。大阪府内の市町村が抱える地域課題に対し、自治体と連携して実証・実装することを前提に、不登校支援の仕組みを提案したことにあります。
この記事では、Smart City OSAKA Pitch 2025とはどのようなイベントなのか、NIJINが提案した「メタバース校舎を用いた不登校支援」の内容、優秀賞から自治体実証へ進む仕組みを詳しく紹介します。
Smart City OSAKA Pitch 2025とは?
地域・社会課題を解決するサービスを持つスタートアップが、大阪府内の市町村へ提案し、実証・実装につなげることを目的としたイベントです。一般的な受賞イベントよりも、自治体との連携を生み出すことに重点があります。
主催する大阪スマートシティパートナーズフォーラム(OSPF)は、大阪府、府内43市町村、企業、大学、シビックテックなどが連携し、「大阪モデル」のスマートシティを推進する組織です。
OSPFは、行政が抱える課題を見える化し、解決策を持つ企業や団体をつなぎ、実証・実装プロジェクトを進めています。Smart City OSAKA Pitchは、その入口の一つです。
- イベント名
- Smart City OSAKA Pitch 2025
- 開催日時
- 2025年11月20日(木)14時00分〜17時30分
- 会場
- QUINTBRIDGE(大阪市都島区)
- 主催
- 大阪スマートシティパートナーズフォーラム(OSPF)
- 後援
- りそな銀行
- 募集テーマ
- 子育て・教育/健康・高齢/安全・安心
- プレゼンテーション
- 1提案あたり8分、質疑応答5分程度
- 登壇企業
- 事前審査を経て選ばれたスタートアップ・ベンチャー企業8社
- 審査員
- りそな銀行、近畿経済産業局、大阪スマートシティ戦略の各有識者
Smart City OSAKA Pitch 2025では「子育て・教育」が正式な募集テーマの一つでした。デジタル技術と公民連携によって、住む場所に左右されず教育へアクセスできる仕組みをつくることも、スマートシティ政策の重要な領域です。
株式会社NIJINを含む3社が優秀賞を受賞
地域課題の解決に向けたサービスを発表した8社の中から、Adora株式会社、株式会社NIJIN、株式会社ReTabyの3社が優秀賞に選ばれました。
Smart City OSAKA Pitch 2025 優秀賞
メタバース校舎を活用した不登校支援
Smart City OSAKA Pitch 2025 優秀賞
3社はいずれも「優秀賞」です。公式発表では、優秀賞3社の中で順位は設けられていません。
NIJINが提案した「メタバース校舎を用いた不登校支援」
〜在宅教育支援モデルの有効性の検証〜
NIJINが提案したのは、学校に通いづらい子どもへオンラインの居場所だけを提供する仕組みではありません。学習、人との関係、地域との接点、在籍校や自治体との連携を組み合わせ、在宅からでも教育を受けられる環境をつくるモデルです。
自宅から参加できるメタバース校舎とオンライン教室により、外出や集団参加が難しい時期にも学びへつながれる入口をつくります。
一人ひとりの学習ペースや特性に応じた授業と、安心して人と関われる居場所を同じ環境の中で提供します。
オンラインだけで完結させず、地域のリアル教室と組み合わせ、外出、交流、体験学習へ段階的につながる選択肢を用意します。
自治体、学校、企業と情報や役割を分担し、家庭だけに負担を集中させず、地域全体で子どもの学びを支える体制をつくります。
なぜ自治体に不登校支援の新しい仕組みが必要なのか
全国一律ではなく、地域ごとの支援網が問われている
文部科学省の令和6年度調査では、小・中学校の不登校児童生徒数は約35万4千人となり、過去最多を更新しました。自治体には、学校内の支援だけでなく、自宅、教育支援センター、民間施設、オンラインなど、多様な学びをつなぐ役割が求められています。
不登校支援では、子どもの状態も、家庭が利用できる交通手段も、地域にある施設や人材も異なります。そのため、全国共通のサービスをそのまま置くだけではなく、自治体の既存施策と民間の教育資源を組み合わせる設計が欠かせません。
NIJINの提案は、オンラインで広域をつなげられる一方、地域のリアル教室や在籍校との連携を組み込める点に特徴があります。デジタルを「対面の代替」にするのではなく、支援につながれなかった子どもへ届く入口として使います。
優秀賞から自治体での実証・実装へ
Smart City OSAKA Pitch 2025の優秀賞は、表彰だけで完結しません。連携する自治体が決まった場合、受賞企業は翌年度の予算の範囲内で、OSPFプロジェクト推進補助金のスタートアップ・ベンチャー枠へ申し込めます。
大阪府内の市町村を対象に、サービスの内容と自治体連携の構想を発表します。
対象となる子ども、既存施策との関係、学校との情報共有、実施体制を具体化します。
実施期間、参加方法、支援内容、検証項目、個人情報の扱いなどを整理します。
条件を満たす場合に補助金へ申請し、自治体と企業が連携して地域での有効性を検証します。
子どもの変化、利用状況、学校や家庭の負担、事業継続性などを確認し、次の実装へつなげます。
優秀賞の受賞だけで、自治体への導入や補助金の採択が自動的に決まるわけではありません。連携自治体の決定、事業計画の策定、申請・審査などが別途必要です。
何が評価されたのか――公式発表とNIJINの受け止め
OSPFの開催報告は優秀賞3社を発表していますが、各社について個別の審査理由は公表していません。そのため、「この点が公式に評価された」と断定することはできません。
NIJINは受賞発表の中で、地域課題へ正面から向き合う解決策を示したこと、そして自治体との連携を提案に組み込んだことが評価につながったのではないか、と受け止めています。
既存の施設へ通うことが難しい子どもにも、オンラインを通じて支援の入口をつくれること。
メタバースだけで閉じず、リアル教室、学校、地域との接点を組み合わせていること。
サービス販売ではなく、地域の課題や既存施策に合わせてモデルを検証する構想であること。
オンライン基盤と地域拠点を組み合わせることで、異なる自治体にも展開可能な構造を持つこと。
上記4点は、公式の個別審査理由ではありません。NIJINの発表内容とOSPFの事業目的を照らし合わせ、本記事で整理したものです。
自治体実証で確認すべき5つの指標
不登校支援の実証では、参加人数だけで成果を測ることはできません。子どもが安心して参加できたか、学校や社会との接点が増えたか、家庭や行政の負担を含めて継続できるかを確認する必要があります。
これまで自治体の施設や学校内支援につながりにくかった子どもが参加できたか。
心理的な安心、生活リズム、他者との会話、外出への意欲などに変化が見られたか。
授業への参加、学習習慣、興味の広がり、自己選択など、学びへの接続が生まれたか。
情報共有の方法、出席認定、ケース会議など、関係者が無理なく協力できる体制になったか。
費用、担当者の業務負担、人材、利用ニーズを踏まえ、実証後も継続可能な仕組みか。
これらはOSPFが公表した審査項目ではなく、自治体による不登校支援の実証を設計する際に重要になる観点として、本記事で提案するものです。
登壇者コメントと今後の展望
受賞はゴールではなく、地域で本当に機能する支援へ変えるためのスタート地点です。NIJINは、自治体との実証連携、地域に根ざしたリアル教室、企業との教育共創を進め、学校に行くことが難しい時期にも教育とのつながりを失わない仕組みを広げていきます。


NIJINの登壇者は、出身地である大阪で新しい試みが評価された喜びと、他の登壇企業や参加者との交流が大きな経験になったことをコメントしています。今後は自治体・企業との連携を深め、子ども一人ひとりに合う学びの場を広げていく考えです。