教室を開きたい方や、保護者との対話を整えたい運営者に向けて、質問例、30分の進行例、記録表とチームでの共有方法を紹介します。時間配分や例文は編集部の提案です。NIJINの全教室に共通する公式マニュアルや、個別の支援結果を保証する手順ではありません。
保護者面談の目的は、話したいことと次の行動をそろえること
面談の目的が「入会を決めてもらう」「登校できるようにする」と一つに固定されると、保護者がいま話したいことから離れてしまう場合があります。初回の相談なのか、通い始めてからの振り返りなのか、困りごとが起きたあとの確認なのかで、確かめる内容を変えましょう。
文部科学省の通知では、不登校の支援を学校への登校という結果だけで捉えず、本人に応じた支援と家庭・関係機関との連携を重視しています。保護者面談でも、教室側が一方的に目標を決めるのではなく、本人と家庭の希望を確かめることを出発点にできます。
参考:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」。以下の進行・質問・記録の例は編集部による提案です。
| 面談の場面 | 先に確かめること | その場で急がないこと |
|---|---|---|
| 見学・利用前 | 知りたいこと、教室でできること、利用条件 | 当日の入会判断、詳しい過去の説明 |
| 利用開始後 | 本人の様子、家庭と教室で違う点、試したい工夫 | 通う回数だけでの評価 |
| 困りごとの確認 | 起きた事実、当面の対応、確認する担当者 | 理由の断定、一人の担当者による約束 |
面談が終わるときに、すべての問題が解決している必要はありません。「何が分かったか」「まだ分からないことは何か」「誰が次に確認するか」が共有できれば、次の対話につながります。反対に、気持ちよく話せても、教室側ができない対応を約束してしまえば、あとで食い違いが生じます。
体験会の開催方法そのものを知りたい方は、フリースクールの体験会の開き方で、事前案内から当日の進行を別に整理しています。本記事では、体験会だけに限らず、その後も続く保護者との対話に焦点を当てます。
面談前の準備|聞く項目より、安心して話せる条件を決める

予約時には、面談の目的、時間の目安、同席する人、場所やオンライン接続の方法を案内します。子どもと一緒に来る場合は、面談中にどこで過ごすかも確認しましょう。「保護者面談だから子どもは必ず別室」と一律に決めず、本人の希望と、その時間に対応できるスタッフの配置を照合します。
教室側の準備は、前回の記録、今回確認したいこと、答えられる条件の三つに分けると整理できます。記録を読んだ担当者が、過去の解釈をそのまま今回の前提にしないことも大切です。「以前の面談ではこう伺いましたが、今も同じ理解でよいですか」と確かめる余地を残します。
予約案内の文例
今回の面談では、最近のご様子と、教室で確かめたいことをお聞きできればと思います。お時間は30分程度を予定していますが、話す内容やご都合に合わせて調整します。先に聞いておきたいことがあれば、お知らせください。答えにくい内容は、無理にお話しいただく必要はありません。お子さんの同席や待ち方についても、事前に相談できます。
この文例を使う場合は、実際に調整できる範囲へ直してください。スタッフを配置できないのに「いつでも別室で過ごせます」と書いたり、相談枠がないのに延長を前提にしたりしないようにします。オンライン面談では、周囲に話を聞かれる心配がないか、接続が切れたときにどう連絡するかも決めておくと、当日の迷いを減らせます。
情報は、必要な目的から考える
聞ける情報をすべて集めることが準備ではありません。利用の判断や日々の対応に必要なこと、今回の対話で確認したいことを先に決めます。過去の学校生活や家庭の事情を、最初から詳しく説明してもらう形に固定しないようにしましょう。記録の保管先と、誰が読むのかも教室内でそろえます。
保護者面談の質問例|一度に全部は聞かない
質問は面談を進めるための候補です。上から順に答えてもらうチェックリストとして使うと、保護者の話が途中で切れてしまう場合があります。最初に「今日いちばん確かめたいこと」を聞き、その内容に合わせて必要な問いを選びます。
| 確かめたいこと | 質問例 | 聞いたあとの確認 |
|---|---|---|
| 今日の希望 | 今日、先に話しておきたいことはありますか | 最初に扱うテーマをそろえる |
| 最近の変化 | 最近、少し楽に過ごせた場面はありましたか | いつ、どこで、何が違ったかを聞く |
| 本人の言葉 | 教室について、お子さんが話していたことはありますか | 本人の言葉と周囲の受け止めを分ける |
| 気になっていること | 教室で確かめてほしい場面はありますか | 観察できることと、すぐには分からないことを分ける |
| 対応の選択肢 | いまの関わり方で、続けたいこと・変えたいことはありますか | 実際にできる範囲を教室側で確認する |
| 連絡の方法 | 連絡しやすい方法や、避けたい時間帯はありますか | 担当、窓口、返答の目安を共有する |
「なぜ来られないのか」だけに質問を寄せない
来室が難しかった日について聞く場合も、「来られなかった理由を教えてください」だけでは、答えをまとめる負担が大きいことがあります。「来る前に気になっていたことはありましたか」「教室側で変えられそうなことはありますか」のように、今後の対応につながる範囲で確かめます。
理由が分からないという返答も、その時点で分かっている情報です。教室側が、怠け、家庭の問題、友人関係など一つの原因に決めつけることは避けましょう。答えを急いで求めるより、次回までに見ておきたい場面を一つ共有する方法もあります。
できたことを伝えるときも、評価より場面を示す
「よく頑張っています」だけでなく、「今日は活動の前に、使いたい道具を自分で選んでいました」のように、教室で見た場面を伝えます。良い報告をするために、本人が話していない気持ちを補う必要はありません。「楽しそうに見えた」は教室側の受け止めとして伝え、「本人は楽しいと言っている」と同じ情報にしないことが大切です。
30分の面談の進行例|話す・確かめる・まとめる

以下は30分を仮に確保した場合の進行例です。相談内容や本人・保護者の状況によって、短くする、二回に分ける、別の担当者と改めて話すなどの調整が必要です。予定どおりに話し終えることより、急がせず、できない約束をせず、次の確認先をそろえることを優先します。
| 時間の例 | 扱うこと | 担当者の確認 |
|---|---|---|
| 最初の5分 | 目的と話したいこと、記録・共有の範囲 | 今日の優先テーマが一致しているか |
| 次の10分 | 家庭での様子と、保護者が確かめたいこと | 話を途中で評価・結論へ飛ばしていないか |
| 次の10分 | 教室で見た場面、対応の選択肢 | 見た事実と仮説を分けているか |
| 最後の5分 | 合意したこと、持ち帰ること、次の連絡 | 誰が・いつまでに・何を確かめるか |
冒頭では「今日は最近の様子と、来室前に気になっていることを中心に話す、という理解でよいですか」と目的を合わせます。教室側に伝えたいことがあっても、保護者が別の相談を抱えている場合は、順番を相談します。
聞いている途中では、内容を短く言い直して確認します。「家では活動の話があまり出ないため、教室でどう過ごしているか知りたい、ということでしょうか」のように、理解を確かめる問いです。言い換えた内容が違っていたら、訂正してもらいます。
最後は、教室がすぐ行うことと、持ち帰って確認することを分けます。「次回は開始前に静かな席を案内します」「利用方法の変更は担当者に確認し、決めた連絡日までにご案内します」のように、対応の範囲と連絡先をそろえます。終わり際の約束ほど記録に残し、担当者だけの記憶にしないようにします。
子ども本人の希望を、保護者との話と分けて確かめる
保護者の願いと、本人がいま希望していることが同じとは限りません。どちらが正しいかを面談で決めるのではなく、誰が何を話した情報なのかを分けます。「保護者は参加を増やしたい」「本人は今のペースを希望している」と並べれば、次に相談するテーマが見えます。
本人が同席する場合は、すべての質問に答える役割を負わせないことが大切です。話したくない内容があるか、途中で席を外したいか、あとで別に伝えたいことがあるかも相談できます。本人の希望を確かめる方法は、対面で話すことだけに固定しません。
本人が面談に参加しない場合
参加しないことを理由に、本人の気持ちを周囲だけで決めないようにします。「本人の言葉をまだ確認できていない」と記録し、誰が、どんな場面で、どの範囲を確かめるかを相談します。家庭で聞いてもらう場合も、答えを求めて繰り返し問い詰める形にならないよう、無理のない方法を考えます。
たとえば「来週から毎日参加する」という大きな目標より、「次の来室で、どの席なら過ごしやすいか一緒に確認する」という小さな選択を扱うこともできます。本人がその選択を希望しているかは、その都度確かめてください。
関連動画|関わりの入口は、子どもの興味からも考えられる
タツロー校長の公式動画では、料理教室と連携するNIJINアカデミー池袋校の教室長が、自身の経験や教室の考え方を話しています。5分1秒付近からの、興味を入口にする話は、面談で本人の好きなことを確かめる際の参考になります。面談の公式手順を解説する動画ではなく、一つの教室の考え方として紹介します。

話が難しくなったとき|その場で理由や解決策を決めない
家庭と教室で見えている様子が違うこともあります。「こちらでは問題ありません」で終えると、保護者の心配が残る場合があります。見た場面と時間帯を具体的に伝え、違いを今後確かめる材料にします。
場面1:家では疲れているが、教室では楽しそうに見える
教室では、午後の活動に参加していた場面を確認しています。一方で、ご家庭では帰宅後に疲れが出ているのですね。教室での参加の様子だけで負担がないとは決めず、次回は休憩の取り方も見ながら、あとで様子を共有できればと思います。
この例では、教室で見たことを否定せず、家庭からの情報も同じように扱っています。「楽しそうだから問題ない」「疲れるなら通わないほうがよい」と、その場で結論を出していません。観察する場面と、次に共有する内容を絞っています。
場面2:教室側が、すぐには答えられない要望を受けた
その対応をご希望されていることは分かりました。今ここで可能だとお約束する前に、スタッフの配置と運営上の条件を確認します。確認する担当者と連絡日を決め、対応できる範囲と難しい範囲をお伝えしてもよいでしょうか。
「検討します」と言って終えるだけでは、何を待てばよいかが分かりません。確認する人、連絡する時点、急ぎの間にどうするかを共有します。相手の希望を聞くことと、そのまま対応を約束することは分けて進めます。
場面3:話題が広がり、時間内に整理できなくなった
大切なお話がいくつか出ています。今日ここで一つ先に確かめるなら、来室前の不安と、連絡方法のどちらがよさそうでしょうか。残ったことは記録に分けて、次に扱う方法を相談させてください。
話を切り上げるためではなく、扱えていないテーマを曖昧にしないための確認です。支援に関する専門的な判断が必要な内容は、教室だけで判断を広げず、所属組織の方針に沿って、適切な担当者や関係機関への確認につなげます。
面談記録は「事実・受け止め・合意」を分けて残す

記録は長ければよいわけではありません。次の担当者が読んだとき、誰の話か、教室で確認したことか、合意した対応かが区別できることを重視します。感想と事実が一つの文に混ざっている場合は、分けて書き直します。
| 記録欄 | 残す内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 面談の目的 | 今回の優先テーマ | 帰宅後の様子と、休憩の取り方を確認 |
| 保護者からの話 | 誰が、どの場面を説明したか | 保護者より、帰宅後は一人で休む時間が増えたとの話 |
| 教室で見た事実 | 観察した場面と日時 | 当日は午後の活動後、静かな席で過ごした |
| 本人の言葉・希望 | 確認できた言葉と、未確認の部分 | 休憩場所の希望は、次の来室時に確認する |
| 合意した対応 | 担当、行うこと、時点 | 担当スタッフが次回、休憩場所の選択肢を案内 |
| 持ち帰る確認 | 未決のことと連絡先 | 利用時間の調整可否を運営担当に確認して連絡 |
表は架空の記入例です。実際の記録にそのまま使わず、必要な項目だけに絞ってください。本人の気持ちを確認できていないなら、推測で埋めず「未確認」と残します。「保護者が不安定」などの評価語だけでまとめるより、何を心配していると話したかを記録したほうが、次の対応につながります。
面談の最後に、短く読み合わせる
「今日確認できたことはこの二点で、次回までに教室側が確かめるのはこの一点です」と読み合わせます。保護者の理解と違う部分があれば、面談の場で直します。あとで記録を読んだスタッフが、未決の案を決定事項として扱わないよう、合意と検討中を明記しましょう。
共有範囲は、支援や運営上必要な担当者に絞り、組織で決めた保管・共有方法を使います。個人の端末や私的な連絡先に情報を散らす運用は避けます。学校等へ情報を伝える必要がある場合も、伝える目的、内容、窓口を、所属組織の方針に沿って確認します。面談で聞いた内容を、そのまま広報の体験談に転用しないことも大切です。
面談後の連絡文も、決まったことだけにする
面談後に連絡を送る場合は、長い議事録より、合意した対応と次の連絡を中心にまとめます。例えば「本日はありがとうございました。次回は開始前に静かな席をご案内し、過ごし方の希望を確認します。利用時間の調整については、運営担当へ確認したうえで、面談でお伝えした日にご連絡します」という形です。これは架空の文例です。実際に約束した内容と時点に置き換えて使います。
面談では検討中だったことを、連絡文でいつの間にか決定事項にしないようにします。また、本人が伝え方を相談していた内容を、確認せず文章に加えることも避けます。送る前に、宛先、共有範囲、記載する必要のある情報かを確認します。連絡手段は、教室が正式に運用する窓口を使いましょう。
次回の面談では、前の対応を実行したか、本人や家庭から新しく聞いたことは何かを確認します。変化が分からないときに、良くなったと評価を急ぐ必要はありません。「実施した」「まだ実施できていない」「様子を確かめている」を分ければ、運営上の課題も見直しやすくなります。
教室長が一人で抱えない、面談後の共有の流れ
面談を担当した人だけが詳しい状況を知っていると、休みの日や担当交代のときに連絡が止まりやすくなります。一方で、全員にすべての情報を広げればよいわけでもありません。対応に必要な要点を、決めた担当者へ引き継ぐ流れをつくります。
共有の際は、「家庭はこう考えているので、この対応をしてください」と結論だけを伝えず、誰が何を話し、何が合意され、何が確認待ちかをそろえます。新しい担当者が、まだ確かめていないことを保護者へ断定して伝えないようにします。

NIJINアカデミーのリアル教室という選択肢
教室を開く仕事を具体的に知りたい方は、現在の教室長募集ページで役割や関わり方を確認できます。支援体制や運営条件は、自分が希望する進め方と照合してください。
教室長の仕事内容と募集情報を見る →現場で働く人の考え方を知るには、公開済みのやこたんのインタビューも参考になります。個人の経験は、その人の背景を含む一つの例です。面談の回数や担当範囲など、募集条件に関わることは最新の募集情報で確かめましょう。
フリースクールの保護者面談で、よくある質問
初回面談では、どこまで詳しく聞くべきですか?
今日の目的と、利用や日々の対応に必要な内容から考えます。過去の事情を最初からすべて説明してもらう形に固定せず、話しにくい内容は無理に聞かないことを共有します。未確認の情報は、推測で埋めません。
子ども本人は、面談に同席したほうがよいですか?
一律には決められません。本人の希望、相談内容、待つ場所やスタッフの配置を確認して決めます。同席しない場合も、本人の気持ちを周囲だけで決めず、別に確かめる方法を相談します。
面談は何分にすればよいですか?
本記事の30分は進行を考えるための例です。目的、相談内容、体制に応じて決めます。短く区切る、二回に分けるなどの方法も含め、最初の案内と実際にできる対応を一致させます。
保護者からの質問に、答えが分からないときは?
確認せずに約束せず、誰に確認し、いつ連絡するかを伝えます。すぐに答えられることと、持ち帰ることを分け、担当者間でも同じ認識になるよう記録します。
家庭と教室で見えている様子が違う場合は?
どちらかを否定する前に、時間帯や場面を具体的にします。教室で見た事実、家庭からの話、まだ確かめていないことを分け、次に観察・共有する内容を一つ決めます。
記録はどのくらい詳しく残しますか?
次の対応に必要な範囲で、発言の主体、事実、合意、未決、担当が分かるようにします。長さよりも区別できることを重視し、組織で定めた保管先と共有範囲を使います。
入会してもらうための説明を中心にしてもよいですか?
利用前の相談では、条件や教室でできることを正確に説明します。そのうえで、保護者が今日確かめたいことを聞き、その場で判断を急がせない進め方を考えましょう。対応できないことも曖昧にしないようにします。
面談のたびに同じ話になるときは、どうしますか?
前回の合意と、まだ確認できていないことを一緒に振り返ります。話した内容が伝わっていないのか、状況が変わったのか、対応が進んでいないのかを分けます。担当者だけで抱えず、必要な確認先につなげます。
まとめ|話を聞いたあと、次に何をするかまでそろえる
フリースクールの保護者面談では、たくさん質問できたかより、本人と家庭の希望を確かめ、教室でできることを正確に伝え、次の対応を共有できたかを振り返ります。話を聞く姿勢と、引き受けられる範囲を明らかにすることを、同じように大切にしましょう。
- 冒頭で、今日いちばん話したいことを確かめる。
- 家庭の話、教室での観察、本人の言葉を分ける。
- その場で決められることと、持ち帰ることを分ける。
- 記録には、合意・未決・担当・次の連絡を残す。
- 面談担当者だけに情報と判断を集中させない。
まずは次の面談で、「今日の目的」と「最後に読み合わせる三点」を決めてみてください。質問集を増やす前に、対話の始まりと終わりをそろえることが、継続する運営の一歩になります。
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公式情報の確認:2026年10月20日。質問・応答・記録・時間配分は編集部の提案例です。個別の対応は所属組織の方針と、本人・家庭の状況に合わせて確認してください。

