フリースクールは、学校教育法で定める「学校」ではなく、民間の施設です。教員免許は学校の先生に必要な免許で、民間の施設を開く人には求められていません。そのかわり、子どもの安全を守る備え、保護者や在籍校との連携、続けるための体制といった「資格ではない条件」が問われます。この記事では、必要なもの・不要なものを分けて整理し、すでに教室を持っている方が平日の昼に開くときの進め方までをまとめます。
目次
- フリースクールの開業に、資格・免許・認可が必要かどうか
- 資格のかわりに、保護者や学校から見られるポイント
- 英語・プログラミング・料理・学習塾などの教室の先生が、いまの得意を生かす方法
- 教員免許なしで応募できる、NIJINアカデミー リアル校の教室長の条件
1結論:フリースクールの開業に必須の資格はない
先に答えをまとめます。フリースクールを開くために、取らなければならない国家資格や免許はありません。「フリースクール指導員」のような公的な免許の制度も、国にはありません。
「フリースクール 資格 必要」「フリースクール 運営 資格」「フリースクール 立ち上げ 資格」と調べる方の多くは、教員免許や保育士の資格がないと始められないのでは、と心配しています。その心配は、いったん置いて大丈夫です。
| よく聞かれるもの | 開業に必要か | 補足 |
|---|---|---|
| 教員免許 | 不要 | 学校の教員に必要な免許。民間の施設を開く人には求められていない |
| 保育士・心理の資格 | 不要 | 持っていれば、保護者に伝わる安心材料の一つになる |
| 民間の認定資格・講座 | 不要 | 学びとして役に立つが、開業の条件ではない |
| 国の認可 | 不要 | フリースクールという名前で開くための認可の制度はない |
| 事業としての届出 | 形による | 個人で事業を始める届出、法人をつくる手続きなど。税務署や自治体の窓口で確かめる |
| 活動の内容に応じた手続き | 内容による | 食事を出す、建物の使い方を変える、福祉の制度を使うなどの場合は、保健所や自治体の担当窓口に相談する |
表の下の2行は、資格の話ではなく「事業を始めるときの手続き」の話です。内容や地域で扱いが変わるので、ここでは断定しません。開く場所が決まったら、自治体の窓口に早めに相談するのが確実です。

2なぜ資格がいらないのか|学校とのちがい
理由は、フリースクールが法律上の「学校」ではないからです。小学校や中学校は学校教育法で定められた学校で、そこで教える先生には教員免許が必要です。フリースクールは、民間の人や団体が開く施設です。文部科学省の通知でも「フリースクールなどの民間施設」という書き方がされています。
国の考え方は、2016年に公布された「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(教育機会確保法)と、その後の通知に表れています。2019年(令和元年)10月の通知では、不登校の子どもへの支援は「学校に登校する」という結果だけを目標にせず、社会的な自立を目指すこと、そしてフリースクールなどの民間施設や NPO と学校が連携し、補い合う意義が大きいことが示されました。
学校とフリースクールのちがい
先生は教員免許が必要
設置には認可などの手続き
情報を共有し、補い合う
(出席扱いは校長が判断)
開く人の資格の定めはない
内容・料金は施設ごと
つまり、フリースクールは学校の代わりに免許で保証される場所ではなく、学校と手をつなぎながら、子どもに合う学びと居場所をつくる民間の場所です。資格がいらないのは「何でもよい」という意味ではありません。法律が細かく決めていないぶん、開く人の姿勢と備えが、そのまま信頼になります。
出典:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日 mext.go.jp/文部科学省「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の公布について」mext.go.jp
3運営・立ち上げで、資格のかわりに問われる5つの条件
資格の欄に書くものがなくても、保護者は「ここに子どもを預けて大丈夫か」を見ています。在籍校の先生も同じです。問われるのは、次の5つです。
- 安全を守る備え:けがや体調不良のときの連絡の流れ、避難の道、アレルギーの確認、保険への加入など。料理や運動など体を使う活動ほど、先に決めておきます。
- 子どもを主役にする関わり方:教えることより、その子が「やってみたい」と思える場面をつくること。学校に行きづらかった子は、評価されることに疲れている場合があります。
- 保護者・在籍校との連携:通った日や活動の内容を記録し、保護者に伝える。保護者を通じて在籍校と情報を共有する。出席扱いの話は、ここから始まります。
- 続けられる体制:場所代、開く日数、自分の体力、相談できる仲間。週1日でも、長く開いていることが子どもの安心になります。
- あなた自身の専門性:英語、プログラミング、料理、音楽、スポーツ、農業。先生の経験がなくても、得意なことは子どもが動き出すきっかけになります。
教室をすでに持っている方へ。1・4・5は、いまの教室運営ですでに積み重ねていることが多いはずです。安全の決まり、保護者とのやり取り、場所と道具。新しく学ぶのは、主に2と3です。
不登校の子どもは、どれくらいいるのか
出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」mext.go.jp(PDF)/同「調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」mext.go.jp
同じ調査では、新しく不登校になった子どもの数が9年ぶりに減ったことも報告されています。「増え続ける」とは言い切れません。それでも、どこにもつながっていない子どもが十数万人いるという事実は、地域に通える場所が足りていないことを示しています。資格の有無より、通える場所があるかどうかのほうが、子どもにとっては大きな問題です。
4持っていると役に立つ資格・経験
必須ではありませんが、持っていると保護者に伝わりやすいものはあります。どれも「あれば安心材料になる」という位置づけです。これから取りに行く前に、いま持っているものを棚おろししてみてください。
| 資格・経験 | 役に立つ場面 | なくても補える方法 |
|---|---|---|
| 教員免許・教員の経験 | 学習の進め方の相談、在籍校とのやり取り | 学習は子どものペースに合わせ、学校との連絡は保護者と一緒に進める |
| 保育士・幼稚園教諭 | 年齢の低い子への関わり、発達への理解 | 地域の相談機関を知っておき、必要なときにつなぐ |
| 心理・福祉の資格 | 保護者の相談、専門機関との連携 | 抱え込まず、スクールカウンセラーや医療につなぐ姿勢を持つ |
| 教室運営の経験 | 安全管理、保護者対応、集客、会計 | —(すでに大きな強み) |
| 得意分野の実績 | 教室の特色づくり、子どもの「好き」を伸ばす活動 | —(すでに大きな強み) |
| わが子の不登校の経験 | 保護者の気持ちへの共感 | 経験がなくても、聞く姿勢があれば伝わる |
英語教室や学習塾、プログラミング教室、料理教室を開いている方は、表の下3行のうち2つをすでに持っています。フリースクールを一から開く人がいちばん苦労する「場所」と「保護者との信頼づくり」を、もう経験しているということです。
5教員免許なしで開いている実例と、NIJIN の教室長という道
実際に、教員免許を持たずにフリースクールの教室長をしている人がいます。NIJINアカデミーのリアル校で最初に開校した越谷校の教室長・ひとみんさんは、保育士として10年間、発達支援の現場で働いてきた方です。インタビューで次のように話しています。

ひとみんさん(越谷校 教室長)
保育士として10年間、発達支援の現場に。息子さんの不登校をきっかけに NIJINアカデミーへ
「実は私は教員免許を持っていません。」「教員免許より大切なのは、これまでの経験や、子どもを想う気持ちだと感じています。」
一人で一から開く道のほかに、すでにある仕組みに加わって、自分の教室を開く道もあります。NIJINアカデミーのリアル校は、不登校や学校が合わない子どものためのフリースクールです。子どもたちは、ふだんは自宅からメタバース校舎に通い、週1日は地域のリアル教室に通います。その教室を開くのが、教室長です。
募集ページには「教員免許も、先生の経験もいりません」と書かれています。条件は次のとおりです。
| 項目 | 募集ページに載っている内容 |
|---|---|
| 資格 | 教員免許も、先生の経験も不要。学歴や経験は不問 |
| 開く日と時間 | 週1日から。9:00〜16:00の間で5時間。曜日・時間・休日は自分で決める |
| 場所 | 自宅、または自宅の近くの施設など。いまの教室の空き時間も使える |
| 形 | 業務委託(試用期間なし。約1か月のオンライン実習で、お互いに合うかを確かめる) |
| 報酬 | 生徒が支払う学費の8割を支給。生徒1人あたり月額13,200円が基本(教室によっては、教材費などを保護者からいただく) |
| 費用 | 選考でかかるのは、開校視察費 88,000円(税込)。現地視察に進む人が振り込む |
| 仕事 | 開設準備、教室運営(集客・安全管理を含む)、子どもの学びの伴走、保護者・地域との連携、毎週水曜のオンライン全体会議とチーム会議 |
出典:NIJIN 採用サイト「NIJINアカデミー リアル校 教室長 募集」nijin.co.jp/recruit/nijinacademy-real/(開校後の条件は、選考の中で伝えられます)
リアル教室は、教室長の得意を生かした「特化型」です。募集ページには、学習塾、プログラミング、料理、ダンス、アートなど、すでに開校している教室の例が載っています。各地の教室のようすは、リアル教室の紹介ページ(全国の教室一覧)で見られます。
教室の空き時間に開く場合のモデルケース(参考)
| モデルケース(試算) | 教室 | 開校と人数 | 1か月の支給(試算) |
|---|---|---|---|
| 料理教室の空き時間を活用 | レンタルキッチン | 週3日・1日8人(月24人) | 316,800円 |
| 家族経営の塾の日中に開校 | 家族所有の一軒家 | 週3日・1日6人(月18人) | 237,600円 |
| 自宅で週2日開校 | 自宅 | 週2日・1日8人(月16人) | 211,200円 |
出典:教室長の募集ページのモデルケース(試算)。生徒1人あたり月額13,200円(学費の8割)の支給をもとにした試算で、1日の人数は、それぞれ別の子どもが通う場合で数えています。教材費など、教室によって保護者からいただく分は含みません。給与の目安は月20万円〜70万円で、生徒数と担当するジョブで決まります。教室の規模や収入を約束するものではありません。


6出席扱いと資格の関係
「資格がないと、通っても出席扱いにならないのでは」という質問をよく受けます。出席扱いを決めるのは、子どもが在籍する学校の校長です。文部科学省の通知は、学校の外の施設で相談や指導を受けている場合に、一定の要件を満たせば指導要録上の出席扱いにできるとしています。民間の施設については、国の「民間施設についてのガイドライン」を参考に、校長が教育委員会と連携して判断します。
ここで見られるのは、開く人の免許ではなく、保護者と学校の間に十分な連携があるか、その施設での活動が子どもの自立を助けるものか、といった中身です。だからこそ、3章の「連携」と「記録」が大切になります。出席扱いになるかどうかは一人ひとりの状況で変わるので、「必ず出席になります」とは言えません。保護者と一緒に、在籍校に相談するところから始めます。
NIJINアカデミーの公式サイトでは、出席認定は希望者のうち97%と紹介されています(公式サイト)。学校とのやり取りの積み重ねがある仕組みに加わることは、資格を持たない人にとって心強い土台になります。
7開業前のチェックリスト
資格を取りに行く前に、次の項目を確かめてみてください。いまの教室の運営と重なるものが、いくつあるでしょうか。
資格のかわりに確かめる8つのこと
- 平日の9:00〜16:00の間に、5時間ほど使える場所がある(または、あてがある)
- けが・体調不良・災害のときの連絡と対応を、紙に書いて説明できる
- 活動中の事故に備える保険について、保険会社や窓口に相談した
- 子どもに伝えたい「得意」や「好き」を、ひとつ言葉にできる
- 通った日と活動の内容を記録し、保護者に伝える方法を決めた
- 事業の届出や、活動内容に応じた手続きを、自治体や税務署の窓口で確かめた
- 困ったときに相談できる仲間や組織がある
- 週1日でも、長く続けられるペースになっている

8よくある質問
フリースクールを開くのに、本当に何の資格もいりませんか?
教員免許がないと、保護者に信頼されないのでは?
民間の資格や講座は、取っておいたほうがよいですか?
勉強を教えられないと、だめですか?
自分の教室を続けながら、開けますか?
出席扱いにしてもらうために、資格は必要ですか?
パソコンが得意ではありません。大丈夫でしょうか?
フリースクールの運営に役立つ資格や経験には、どんなものがありますか?
フリースクールを開業・設立するとき、資格のかわりに何が問われますか?
9まとめ
フリースクールの開業に、必須の資格はありません。教員免許がなくても開けます。そのかわりに問われるのは、安全の備え、子どもを主役にする関わり方、保護者や在籍校との連携、続けられる体制、そしてあなた自身の専門性です。
英語、プログラミング、料理、学習塾。すでに教室を持っている方は、場所と保護者対応の経験という、資格では手に入らないものを持っています。一人で一から開く道もあれば、仕組みのあるところに加わって開く道もあります。どちらが合うかは、人それぞれです。まずは条件を見比べて、自分のペースで考えてみてください。
フリースクールの開業全体の流れはフリースクールの立ち上げ方、働く側から見た免許の話はフリースクールの先生に教員免許は必要?、種類のちがいはオルタナティブスクールとはにまとめています。
お金の面はフリースクールの開業資金の見積もり方とフリースクールの経営は成り立つ?収入のしくみ、小さく始める形は不登校の子の居場所づくりの始め方で整理しています。
あなたの地域に、
子どもが安心して通える場所を。
応募は エントリーフォーム から。所要時間は約15〜20分です。
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この記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の開業や経営の結果を保証するものではありません。法律・税金・届出・補助金は、内容や地域によって扱いが変わります。決める前に、お住まいの自治体、税務署、教育委員会などの公式の窓口で確かめてください。NIJIN の条件は、公式の募集ページに載っている内容です。最新の内容は募集ページをご覧ください。
- NIJIN 採用サイト「NIJINアカデミー リアル校 教室長 募集」https://nijin.co.jp/recruit/nijinacademy-real/
- NIJINアカデミー「フリースクール全国の教室一覧」https://academy.nijin.co.jp/realclassroom/
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm
- 文部科学省「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の公布について」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1380952.htm
- 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」https://www.mext.go.jp/content/20251106-mxt_jidou01-000045738_3.pdf
- 文部科学省「令和6年度調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00006.htm


