不登校の子の居場所づくり|地域の教室や自宅で始める方法と大切なこと

不登校 居場所づくり|不登校の子の居場所づくり|地域の教室や自宅で始める方法と大切なこと
執筆:NIJIN 採用チーム/最終更新日:2026年10月7日/読了目安:15分
不登校の子の居場所づくりは、大きな建物や特別な資格がなくても、自宅の一部屋や、いまある教室の空き時間から始められます。大切なのは広さや設備よりも、「安心して過ごせること」「その子が自分で選べること」「家庭や学校とつながっていること」の3つです。

この記事では、地域で居場所をつくりたい方、教室やスペースをすでに持っている方に向けて、国の資料で確かめた考え方、場所ごとの始め方、続けるために大切なことを整理します。一人で全部を背負わずに始める方法も紹介します。

この記事で分かること
  • 国の指針が示す「居場所」の考え方
  • 不登校の子どもの数と、法律・通知が示す支援の方向
  • 公的な場と民間の場の違い、居場所の種類
  • 自宅・いまの教室・地域のスペース、3つの始め方の比べ方
  • 国のガイドラインをもとにした、続けるための大切な点

1「居場所」とは何か|決めるのは子ども本人

「居場所をつくりたい」と思ったとき、最初に知っておきたいことがあります。そこが居場所になるかどうかを決めるのは、つくる大人ではなく、子ども本人だということです。

国は、令和5年12月22日に「こどもの居場所づくりに関する指針」を閣議決定しました。こども家庭庁のページでは、本人にとって居心地が良いと思えるものなら、どんな場所・時間・人との関係性でも居場所になり得ると説明されています。そして、どこを居場所にするかを大人が指定するのは適当ではない、とも書かれています。

出典:こども家庭庁「こども・若者の居場所づくり」cfa.go.jp

つまり、居場所づくりとは「場所を用意して、来てもらう」ことではありません。子どもが「ここなら居てもいい」と感じられる条件を、ていねいに整えていくことです。部屋が立派かどうかは、その次の話です。

この記事での「居場所」 不登校の小中学生が、平日の昼間に、家庭の外で安心して過ごせる場を指します。勉強を教える場に限りません。何もしないで過ごせることも、居場所の大事なはたらきです。

不登校の子の居場所づくりで大切にしたい、子どもがソファで本を読み大人がそばで見守る場面(イメージ)
そこが居場所かどうかを決めるのは、子ども本人です。大人にできるのは、安心して過ごせる場と距離感を用意することです。

2なぜいま、不登校の子の居場所が必要なのか

不登校の子どもは12年続けて増えている

353,970人令和6年度に、小・中学校で不登校だった児童生徒の数(文部科学省の調査)。内訳は小学校137,704人、中学校216,266人です。

出典:文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」mext.go.jp

法律と通知が示す方向

平成28年にできた「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(教育機会確保法)の第13条は、不登校の子どもが学校以外の場で行う多様で適切な学習活動の重要性と、一人ひとりの休養の必要性をふまえて、国や自治体が必要な措置をとることを定めています。

文部科学省の令和元年10月25日の通知も、支援は「学校に登校する」という結果だけを目標にするのではなく、子どもが自分の進路を主体的にとらえ、社会的に自立することをめざす必要がある、としています。同じ通知は、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す積極的な意味を持つことがある一方で、学業の遅れなどの不利益があることにも留意するよう求めています。

出典:教育機会確保法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp/文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」mext.go.jp

学校か家か、の二択ではない。そのあいだに、いくつもの場があってよい。国の資料は、そういう方向を示しています。学校の先生方も、限られた時間のなかで子どもを支えています。地域の居場所は、学校の代わりではなく、学校と並んで子どもを支える場です。

3不登校の居場所支援の種類|公的な場と民間の場

自分で始める前に、いまある居場所の種類を知っておくと、「自分の地域に足りないもの」が見えてきます。

種類だれが開いているかどんな場か
教育支援センター教育委員会など学校の外にある公的な相談・学びの場。在籍校と連絡を取りながら過ごす
校内教育支援センター学校学校の中にある、教室とは別の落ち着ける部屋
学びの多様化学校自治体・学校法人不登校の子どもの実態に合わせた教育課程を組む学校
フリースクールなど民間の施設個人、NPO、会社など活動の中身も規模もさまざま。少人数で過ごす場が多い
地域の居場所住民、団体、お店などこども食堂や学習の場など。不登校の子に限らず開かれていることが多い
オンラインの居場所民間、自治体など家から参加できる。外へ出にくい時期の入口になる

公的な場の整備は、文部科学省の「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」で進められています。mext.go.jp

公的な場は費用の面で通いやすい一方、数や開いている日、距離に限りがある地域もあります。個人がつくる居場所は、そのすき間を埋める、もう一つの選択肢になります。まずは、お住まいの市区町村の教育委員会のページで、地域にどんな場があるかを調べてみてください。

4どこで始めるか|自宅・いまの教室・地域のスペース

居場所づくりは、場所選びから始まります。考えやすい3つを比べます。

場所良いところ気をつけること向いている人
自宅家賃が新しくかからない。家庭的で落ち着く家族の理解、近所への配慮、生活の場との区切り。賃貸や集合住宅は規約の確認が要る子育て中の方、小さく始めたい方
いまの教室の空き時間机・椅子・教具がそろっている。昼間は使っていないことが多い夕方の本業との両立。賃貸契約で使い方が認められているか学習塾、英語、プログラミング、料理、音楽などの教室を開いている方
地域のスペース駅前や公共の施設など、通いやすい場所を選べる利用料と予約。荷物を置いておけないことがある自宅も教室もないが、始めたい方

どの場所にも共通するのは、毎日開かなくてよいということです。週1日でも、「毎週この曜日はここが開いている」と分かっていることが、子どもと保護者の安心になります。教室を持っている方向けの考え方は、学習塾の教室を、不登校の子どもたちの日中の居場所にでも紹介しています。

不登校の子の居場所づくりを自宅で始めた例として、玄関が開いて子どもの靴と自転車が並ぶ民家の場面(イメージ)
居場所は、自宅・いまある教室・地域のスペースのどこからでも始められます。特別な建物でなくてかまいません。

5居場所づくりで大切な5つのこと

文部科学省は、不登校の子どもが民間の施設で相談・指導を受けるときに、保護者や学校が気をつける点の目安として「民間施設についてのガイドライン(試案)」を示しています。個々の施設の良し悪しを判定するものではありませんが、居場所をつくる側が自分の場を点検する道具として役に立ちます。

国のガイドライン(試案)が挙げる7つの項目

1実施主体法人か個人かは問わない。理解と知識または経験、社会的な信望
2運営と透明性著しく営利本位でなく、費用が明確で保護者に知らされている
3相談・指導人格を尊重した温かい関わり。体罰などが行われていない
4スタッフ子どもの教育への深い理解と熱意
5施設・設備活動に必要な施設と設備がある
6学校との関係プライバシーに配慮しつつ、必要な情報を交換する
7家庭との関係過ごし方の経過を保護者に定期的に伝える
文部科学省「民間施設についてのガイドライン(試案)」の項目を、短くまとめたものです。正確な文言は出典でご確認ください。

出典:文部科学省「民間施設についてのガイドライン(試案)」(令和元年10月25日通知の別添3)mext.go.jp

これをふまえて、始めるときに大切にしたいことを5つにまとめます。

① 安心と安全が、すべての土台

けがや災害のときの連絡先、出入りの管理、子どもどうしのトラブルへの向き合い方。先に決めておくほど、当日あわてずにすみます。食事を出す場合は保健所に、保険は保険会社や所属する団体に、必ず確かめてください。

② 過ごし方は、子どもと決める

1章で見たとおり、居場所かどうかを決めるのは本人です。予定をぎっしり組むより、「今日は何をする?」と聞ける余白を残しておきます。何もしない日があっても大丈夫です。

③ 家庭とつながる

その日の様子を保護者に伝えることは、信頼の土台になります。保護者自身が孤立していることも少なくありません。送り迎えのときの短い立ち話が、支えになることがあります。

④ 学校とつながる

学校と対立する場にしないことが大切です。保護者の了解を得たうえで、在籍校と必要な情報をやり取りできる関係をつくっておくと、出席の取り扱いなど、子どもの選択肢が広がります(出席扱いを認めるかどうかは、在籍校の校長が判断します)。

⑤ お金と時間を、続けられる形にする

善意だけで始めた居場所が、数年で閉じてしまうことがあります。子どもにとって、通っていた場がなくなるのはつらいことです。利用料をはっきり示すこと、自分の生活が成り立つ形にすること。続けることそのものが、子どもへの責任です。

不登校問題は「居場所」だけでは解決しないことを解説します|教育問題をビジネスで解決、NPOではなく株式会社にした理由
▶ タツロー校長|不登校問題は「居場所」だけでは解決しないことを解説します

6一人で抱えない|仕組みに加わって始める方法

居場所づくりを個人で始めると、生徒の募集、学びの中身、学校との連絡、相談できる仲間の確保まで、すべてを一人で整えることになります。ここでつまずく方は少なくありません(フリースクールの開業は難しい?でくわしく説明しています)。

もう一つの方法は、すでに動いている仕組みに加わることです。その例として、NIJINアカデミーのリアル教室を紹介します。

NIJINアカデミーのリアル教室でテーブルを囲んで活動する子どもたち
NIJINの募集NIJINアカデミー リアル校の教室長学校が合わない小中学生のためのオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の、地域の教室を開く仕事です。リアル教室は全国52か所(開校予定含む)。自宅や空きスペース、いまの教室の空き時間で、週1日から開けます。教室長の募集ページを見る →

NIJINアカデミーの子どもたちは、週1日はリアル教室、週4日はメタバース(オンライン)の校舎で学ぶ形をとっています。教室が開いていない日も、子どもにはオンラインの居場所がある。教室長が一人で週5日を支えなくてよいつくりです。

項目NIJINアカデミー リアル校の教室長(募集ページより)
開く日と時間週1日から。9:00〜16:00の間で5時間。曜日は自分で決められる
場所いまの教室の空き時間、自宅、空きスペースなど
資格教員免許は不要。学歴・経験は不問、18歳以上
契約の形業務委託
支給生徒1人あたり月額13,200円が基本(教室によっては教材費などを保護者からいただく)
かかる費用開校視察費 88,000円(税込)。最終審査のときのみ
生徒の募集公式サイトの全国教室一覧から、相談・体験会の申し込みを受け付ける
仲間とのつながり毎週水曜のオンライン全体会議、チームの会議に参加

出典:NIJIN採用サイト「NIJINアカデミー リアル校 教室長」nijin.co.jp/recruit/nijinacademy-real/ ※支給額は生徒数によって変わり、収入を約束するものではありません。詳しい条件は選考の中で確認してください。

教室の雰囲気や全国の教室の一覧は、NIJINアカデミーのリアル教室の紹介ページで見られます。出席の取り扱いについて、公式サイトには「出席認定率97%(希望者のうち)」と書かれています。

わが子の不登校から、居場所をつくった人の声

NIJINアカデミー 越谷校 教室長 ひとみんさん

ひとみんさん

保育士として10年間、発達支援の現場を経験 → NIJINアカデミー 越谷校 教室長

ひとみんさんは、息子さんの不登校をきっかけに居場所の少なさに気づき、こう決めたと話しています。「それなら、息子が安心して過ごせる場所を自分で作ろう」。

教室での自分の役目については、「ここは『私の教室』ではありません。子どもたちが自分たちでつくっていく教室です。」と語ります。教員免許は持っていないそうです。インタビュー記事を読む

もちろん、どこにも属さず自分の名前で始める道もあります。事業として一から組み立てたい方には、教育の課題を事業で解決したい人のための星野起業塾という学びの場もあります。自分に合う形を選んでください。

不登校の子の居場所づくりに取り組む大人と子どもたちが、台所で一緒におにぎりをにぎって笑う場面(イメージ)
一緒に作って食べる時間は、居場所の大切な中身です。一人で抱えず、仕組みに加わって始める方法もあります。

7居場所の作り方|始めるまでの6つの段階

居場所づくりの進め方

1地域を知る教育委員会のページで、近くにある居場所を調べる
2見に行くいまある居場所を訪ね、開いている人の話を聞く
3形を決める場所、曜日、時間、受け入れる人数、利用料
4安全を整える連絡先、保険、契約や規約の確認
5知らせる地域、保護者、学校や教育委員会へ
6小さく開く週1日から。数か月ごとに見直す
②の「見に行く」を飛ばさないことをおすすめします。ボランティアとして関わってみるのも一つの方法です。

まず関わってみたい方は、不登校ボランティアの始め方も参考にしてください。立ち上げ全体の流れは、フリースクールの立ち上げ方にまとめています。

8よくある質問

不登校の子の居場所をつくるのに、資格は必要ですか?
文部科学省の「民間施設についてのガイドライン(試案)」は、実施主体について法人か個人かを問わないとしたうえで、理解と知識または経験、社会的な信望を挙げています。NIJINアカデミーのリアル校教室長の募集でも、教員免許は不要とされています。開設にあたって届け出が要るかどうかは、この記事では確認していません。お住まいの自治体に確かめてください。くわしくはフリースクールの開業に資格は必要?にまとめています。
自宅でも居場所は始められますか?
始められます。NIJINアカデミーの教室長の募集ページでも、自宅や空きスペースを持つ方が対象に挙げられています。家族の理解、近所への配慮、賃貸や集合住宅の規約の確認を先にしておきましょう。
毎日開かないと、居場所とはいえませんか?
そんなことはありません。週1日でも、決まった曜日に開いていることが安心につながります。開いていない日に子どもが過ごせる場(オンラインや他の居場所)を一緒に探しておくと、より安心です。
勉強を教えないといけませんか?
居場所は、まず安心して過ごせることが土台です。学びは、子どもの「やってみたい」から始めれば十分です。国の通知も、登校という結果だけを目標にせず、社会的な自立をめざすとしています。
居場所に通うと、学校は出席扱いになりますか?
文部科学省の通知では、保護者と学校の連携などの要件を満たす場合に、在籍校の校長が出席扱いにできるとされています。認めるかどうかは校長が判断します。保護者をとおして、在籍校に早めに相談するのがよいでしょう。要件はフリースクールが出席扱いになる要件で解説しています。
利用料をいただいてもよいのでしょうか?
続けるためには、無理のない形でお金が回ることが大切です。国のガイドライン(試案)は、著しく営利本位でないこと、費用が明確で保護者に情報が提供されていることを挙げています。金額と、何に使うかをはっきり示しましょう。
学校とは、どう関わればよいですか?
保護者の了解を得たうえで、在籍校の担任や管理職にあいさつをし、子どもの様子を伝える方法を相談します。学校と対立するのではなく、一緒に子どもを支える立場であることを伝えるのが出発点です。
不登校の子の居場所の作り方は、どんな順番で始めればよいですか?
地域を知る、見に行く、形を決める、安全を整える、知らせる、小さく開く、の6つの段階で進めます。とくに、いまある居場所を訪ねて開いている人の話を聞く「見に行く」は、飛ばさないことをおすすめします。開くのは週1日からで大丈夫です。「居場所の作り方|始めるまでの6つの段階」の章でくわしく説明しています。
不登校の子の居場所支援には、どんな種類がありますか?
教育委員会などが開く教育支援センターや、学校の中の校内教育支援センターといった公的な場と、フリースクールなど民間の施設、地域の居場所、オンラインの居場所があります。公的な場は費用の面で通いやすい一方、数や開いている日に限りがある地域もあります。「不登校の居場所支援の種類|公的な場と民間の場」の章でくわしく説明しています。

9まとめ|小さく始めて、長く続ける

居場所かどうかを決めるのは、子ども本人です。だから居場所づくりは、立派な場所を用意することではなく、安心して過ごせる条件を整えることから始まります。

場所は、自宅でも、いまの教室の空き時間でも、地域のスペースでもかまいません。週1日から小さく開き、家庭と学校とつながり、続けられる形にする。国のガイドラインは、そのための点検表として使えます。

一人で抱える必要はありません。地域にすでにある場を訪ねること、仕組みに加わること、仲間を見つけること。どの入口からでも、子どもにとっての「ここなら居てもいい」は増やしていけます。

始めるときのお金は、フリースクールの開業資金の見積もり方で見積もり方を整理しています。

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