やりたい教育が学校でできない先生へ|自分らしく教える場所の探し方

やりたい教育が学校でできない先生へ|自分らしく教える場所の探し方(アイキャッチ)
執筆:NIJIN 採用チーム/読了目安:17分
「教員なのに、やりたい教育ができない」と感じるのは、力不足だからではありません。学校では、教える中身や進め方を決める人が、国・学校・学年・教室の4つの層に分かれているからです。まず、やりたい教育を1文にし、それが「どの層で決まることか」を分けてください。教室で決められることなら明日から試せます。学校で決まることなら提案や異動、研修で動かせます。仕組みの外でしかできないことなら、学校の外に場所があります。

この記事は、いま学校で働いていて、「自分のやりたい教育が、ここではできない」と感じはじめた20〜30代の先生に向けて書いています。学校を悪く言う記事でも、辞めることをすすめる記事でもありません。残る道、両方に関わる道、外へ出る道を並べて、自分らしく教えられる場所を探す手順をまとめました。

この記事で分かること
  • 教員の理想と現実のずれが、どこから生まれるのか(法律の条文で確認)
  • 「やりたい教育」を1文にする方法と、7つの型
  • 教室でできる工夫、学校への提案の出し方、異動・研修という動かし方
  • 公立学校の先生が学校の外でも教えるときの、兼業の許可のルール
  • 学校の外で自分らしく働く選択肢と、3つの道の比べ方

1「やりたい教育ができない」は、力不足ではない

教員がやりたい教育をできないと感じたとき、朝の教室で一人ノートを開く若い先生のイメージ
「この教室で何をしたかったのか」を思い出すところから始めます(イメージ)。

子どもが自分で問いを立てる授業がしたい。一人ひとりの「やってみたい」に、もっと時間を使いたい。そう思って教員になったのに、気がつくと、進度をそろえること、行事の準備、決まった形の宿題に一日が埋まっている。

「教員 やりたい教育 できない」と調べる先生の多くは、仕事が嫌になったのではありません。教育が好きで、理想があるから、いまとの差が気になるのです。

この気持ちは、近い言葉と比べると輪郭がはっきりします。

 やりたい教育ができない向いていないと感じるこのままでいいのか
中心にある気持ちやりたいことがあるのに、できないうまくできない、自信がないこの先が見えない
目が向いている先授業・学級・子どもとの関わり方自分の力や性格3年後・10年後の自分
まず必要なことやりたいことを言葉にし、できる場所を探す原因を分けるもやもやを言葉にする
合う記事この記事「教員に向いてない」と感じたら教員はこのままでいいのか

眠れない、食べられないといった状態が続いているときは、理想のことを考える前に、休むことと受診を先にしてください。その場合は「教員を辞めたい」と思ったらの記事のほうが合っています。

そうでないなら、この先を読み進めてください。やりたい教育があることは、先生としての大きな財産です。

教員がやりたい教育をできないと感じたときに見つめ直したい、朝の光が入る教室のイメージ
「この教室で何をしたかったのか」を思い出すところから始めます(イメージ)。

2【図解】なぜできないのか|学校には「決める人」の4つの層がある

やりたい教育ができない理由を「忙しいから」「管理職が認めてくれないから」とまとめてしまうと、打つ手が見えなくなります。もう少し細かく見てみます。

学校で行われる教育は、一人の先生だけで決めているわけではありません。決める人が、4つの層に分かれています。

① 国教える内容の基準を決める。小学校の教育課程に関する事項は、文部科学大臣が定める(学校教育法 第33条)
② 学校年間の計画、時間割、行事、評価の方法、きまりを決める。校長は「校務をつかさどり、所属職員を監督する」(同 第37条)
③ 学年・教科進度、テスト、宿題、掲示、学年の取り組みを話し合ってそろえる
④ 教室1時間の授業の組み立て、問いの出し方、子どもへの声かけ、学級の雰囲気。教諭は「児童の教育をつかさどる」(同 第37条)
上の層ほど、一人では変えにくくなります。やりたい教育が①〜④のどこで決まることかによって、動き方が変わります。③は法律の定めではなく、多くの学校で見られる進め方を編集部で整理したものです。

出典:学校教育法 第33条・第37条(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp ※中学校は同法 第48条・第49条で同じ考え方が定められています。

「そろえる」には、理由がある

学年で進度や宿題をそろえることに、窮屈さを感じる先生は少なくありません。けれど、そろえることには理由があります。どの学級の子も同じ水準の学びを受けられること。担任が替わっても、転校しても、学びが途切れないこと。保護者に同じ説明ができること。学校は、たくさんの子どもを同じ日に安全に預かる場所だからこそ、そろえる力が強く働きます。

つまり、やりたい教育ができないのは、だれかが意地悪をしているからではありません。「みんなに同じものを届ける」という学校の強みと、「目の前のこの子に合わせたい」という先生の願いが、ぶつかっているのです。どちらも、子どものためを思ってのことです。

理想と現実の差が大きく見える3つの場面

  • 時間:やりたい授業には準備が要るのに、準備にあてる時間が残らない。
  • 人数:一人ひとりに合わせたいのに、一度に見る子どもの数が多い。
  • 足並み:新しいことを試したいのに、「学年でそろえましょう」と言われる。

この3つのうち、どれがいちばん大きいかは人によって違います。次の章で、自分のやりたい教育をはっきりさせてから、もう一度ここに戻ってきてください。

3やりたい教育を1文にする|7つの型のチェックリスト

「やりたい教育ができない」と感じている先生に、「では、どんな教育がしたいですか」と聞くと、すぐに答えられないことがあります。忙しい毎日の中で、理想がぼんやりしてしまうのは自然なことです。

まず、下の7つの型から、近いものに印をつけてください。いくつ選んでもかまいません。

  • 子ども主体の授業:先生が説明する時間を減らし、子どもが考え、話し合う授業がしたい
  • 探究・プロジェクト:子どもが自分でテーマを決め、何週間もかけて追いかける学びがしたい
  • 一人ひとりのペース:同じ問題を同じ速さで解くのではなく、その子に合った進み方にしたい
  • 対話と学級づくり:きまりで動かすのではなく、話し合いで学級をつくりたい
  • 評価・宿題・きまりの見直し:点数や量ではない見取り方、宿題や校則のあり方を考え直したい
  • 社会とつなぐ:地域の人や企業の人と一緒に、本物の課題に取り組ませたい
  • 少人数でじっくり:学校に来づらい子、集団が苦手な子と、時間をかけて関わりたい

3つの問いで、1文にまとめる

印をつけたら、次の3つに答えて、1文にします。

  1. だれに:いちばん届けたいのは、どんな子ですか。(例:発言しない子、勉強が得意で退屈している子、教室に入りづらい子)
  2. 何を:その子と、どんな時間をつくりたいですか。(例:自分で決めたテーマを調べる時間)
  3. どんな姿に:その結果、子どもがどうなっていたらうれしいですか。(例:「次はこれをやりたい」と自分から言う)

1文の例:「発言の少ない子が、自分で決めたテーマを調べて、学級のみんなに発表し、『次はこれをやりたい』と言えるようになる授業がしたい。」

1文にすると、「できない」が具体的になります。足りないのは総合の時間の使い方なのか、発表の場なのか、準備の時間なのか。ここまで分かれば、次の表で「どこなら実現できるか」を見分けられます。

4【表】そのやりたい教育は、どこなら実現できるか

7つの型を、2章の「4つの層」に重ねると、次のようになります。学校や自治体によって違いがあるので、目安として見てください。

やりたい教育自分の教室で始めやすいこと学校・学年で決まること学校の外のほうが実現しやすいこと
子ども主体の授業1時間の中の発問、話し合いの時間、ノートの使い方学年の進度、テストの時期—
探究・プロジェクト総合的な学習の時間や単元の終わりの数時間年間の計画、発表会、校外に出る活動何か月も1つのテーマを続ける学び
一人ひとりのペース課題を選べるようにする、進め方を任せる時間をつくる時間割、評価の方法時間割そのものを子どもと決める学び
対話と学級づくり学級会、朝の会・帰りの会の進め方学校のきまり、行事の形—
評価・宿題・きまりコメントの書き方、自分の学級での声かけ通知表の形、宿題の量、校則点数をつけない学びの場
社会とつなぐゲストを1時間招く、オンラインでつなぐ外部の人との連携、校外学習の計画企業や地域と続けて取り組む活動
少人数でじっくり休み時間や放課後の関わり別室での支援、校内の体制少人数の教室、オンラインの学びの場

表を見て、自分のやりたい教育が左の列に多ければ「残る道①」、真ん中に多ければ「残る道②」、右の列に多ければ「両方に関わる道」「外へ出る道」から読むと合いやすくなります。

「できない」をひとまとめにしない。
教室で決められること・学校で決まること・外でしかできないことに分ける。

5残る道①|自分の教室で、小さく始める

教員の理想と現実の間で、休み時間に子どもの話をじっくり聞く若い先生のイメージ
授業を変える前に、子どもの「やってみたい」を聞く時間を5分つくることも一歩です(イメージ)。

4つの層のうち、④の教室は、先生の考えがいちばん生きる場所です。大きく変えようとすると周りとぶつかりますが、小さく始めれば、ぶつからずに試せることがあります。

「1単元」ではなく「1時間」から

やりたい授業を1学期まるごとで考えると、準備も調整も重くなります。まずは1時間だけ、あるいは単元の最後の1〜2時間だけを、やりたい形にしてみてください。進度に影響しない範囲なら、学年の足並みを乱さずにできます。

学年の先生には、先に伝えておく

あとから知られるより、先に「来週の国語で、こういう形を1時間だけ試してみます。うまくいったら共有します」と伝えておくと、受け止められ方が変わります。許可を求めるのではなく、共有するつもりで話すと、言い出しやすくなります。

子どもの姿で記録する

試した授業は、子どものノート、発言、振り返りの言葉を残しておきます。「自分がやりたいから」ではなく、「子どもがこう変わったから」と話せると、次の提案の材料になります。

  1. 決める:3章の1文から、1時間でできる形を1つ選ぶ。
  2. 伝える:学年の先生に、ねらいと時間数をひとこと共有する。
  3. 試す:進度に影響しない時間でやってみる。
  4. 残す:子どもの言葉やノートを、写真やメモで残す。
  5. 広げる:うまくいった部分を学年で話し、次は2時間に増やす。
教員の理想と現実の間で、休み時間に子どもの話をじっくり聞く若い先生のイメージ
授業を変える前に、子どもの「やってみたい」を聞く時間を5分つくることも一歩です(イメージ)。

一人で考えない|校外に、授業を見せ合う仲間を持つ

教室でできることは意外に多いのですが、一人で考えていると、やり方が思いつかなかったり、自信が持てなかったりします。同じ学校の中に相談相手がいないときは、学校の外に学びの場を持つ方法があります。

授業てらすに集まった全国の先生たち
NIJINの事業授業てらす(小学校の先生向け)小学校の先生が授業力を磨くオンラインコミュニティです。プロ講師の授業を「見る」、自分の授業動画を「見せる」、少人数で「語り合う」の3つが特徴。のべ1,000名を超える先生が学んできました。子ども主体の授業をしたい先生の、校外の学びの場になります。授業てらすを見る →

中学校の先生には、中学校てらすがあります。全国の中学校教員が集まるオンラインの教員コミュニティで、学級経営・特別活動・授業づくりの実践を、現役の先生どうしで学び合う場です。運営の中心も現役の中学校教員で、無料のLINEから様子を見ることができます。公式サイトには「学年で浮くのが怖くて、言い出せない」という声にこたえる場だと書かれています。

授業てらす 事業代表 ファンさん

ファンさん

小学校教員として3年間勤務 → 運動教室を経営しながら、NIJINのボランティアスタッフとして「授業てらす」事業代表

教員1年目に「もう辞めたい」と自問していたファンさんは、授業てらすとの出会いをこう振り返っています。「一流の授業を目の当たりにし、教育の本質に触れた瞬間、震えるほどの面白さを知ったんです。」インタビュー記事を読む

6残る道②|提案・異動・研修で、学校と立場を動かす

やりたい教育が「学校・学年で決まること」に入る場合は、一人の教室の工夫では届きません。ここでは、学校に残りながら動かす方法を3つ紹介します。

提案は「小さく・期間を区切って・記録つきで」出す

新しい提案が通りにくいのは、反対されているというより、「うまくいかなかったときにどうするか」が見えないからです。次の4点をそろえると、検討されやすくなります。

  • ねらい:子どものどんな姿をめざすのか(3章の1文がそのまま使えます)
  • 範囲:どの学年・どの時間で、何時間だけ試すのか
  • 戻し方:うまくいかなかったら、もとのやり方に戻せること
  • 記録:5章で残した、自分の学級での子どもの姿

提案を出す時期も大切です。年間の計画は年度の終わりに次の年度分を話し合う学校が多いので、年度の途中より、反省や計画の話し合いの時期に出すほうが通りやすくなります。時期は学校によって違うため、教務主任や管理職に確かめてください。

役割と学校を変える

研究主任や総合的な学習の担当など、学校全体の授業づくりに関わる役割につくと、提案できる範囲が広がります。また、公立学校には異動があります。研究に力を入れている学校、学年の人数が少ない学校、地域との連携が盛んな学校など、学校が変わると、同じ自治体でもできることが大きく変わります。希望の出し方や時期は自治体ごとに違うので、管理職に確認してください。

研修は、法律に書かれた先生の権利

学校の外に出て学ぶことは、法律でも認められています。

方法内容必要な手続きもとになる決まり
勤務場所を離れての研修授業に支障のない限り、勤務場所を離れて研修を行うことができる本属長(校長)の承認教育公務員特例法 第22条第2項
現職のままの長期研修現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる任命権者の定めによる教育公務員特例法 第22条第3項
大学院修学休業国内外の大学院などで学び、専修免許状を取る。3年を超えない範囲任命権者の許可。身分は保有、給与は支給されない教育公務員特例法 第26条・第27条

出典:教育公務員特例法 第21条・第22条・第26条・第27条(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp/文部科学省「大学院修学休業制度」mext.go.jp

同じ法律の第21条には、教育公務員は「絶えず研究と修養に努めなければならない」とあります。やりたい教育を学びに行くことは、わがままではなく、仕事の一部です。使える制度や手続きは自治体によって違うので、所属の教育委員会に確かめてください。

学校の外には、どんな教育の仕事があるのか残ると決めている先生も、一度見ておくと比べる物差しになります。在宅、週数日、兼業で関われる仕事もあります。
募集職種を見る →

7両方に関わる道|学校にいながら、外でも教育に関わる

やりたい教育の一部が「学校の外のほうが実現しやすいこと」に入っていても、すぐに学校を離れる必要はありません。学校で働きながら、学校の外の教育にも関わる道があります。ただし、公立学校の先生が報酬を得て働くには、法律上の許可が必要です。

公立学校の先生の兼業|2つの法律

法律書かれていることだれが認めるか
地方公務員法 第38条任命権者の許可を受けなければ、営利企業の役員などを兼ねること、自ら営利企業を営むこと、報酬を得て事業・事務に従事することはできない任命権者
教育公務員特例法 第17条教育に関する他の職を兼ねること、教育に関する他の事業・事務に従事することは、本務の遂行に支障がないと認められる場合に、給与を受け、または受けないで、できる任命権者(県費負担教職員は市町村の教育委員会)

出典:地方公務員法 第38条(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp/教育公務員特例法 第17条(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp

大事な点は3つです。

  • 「教育に関する仕事なら自由にできる」のではなく、認められた場合にできるという決まりです。
  • 何が「教育に関する他の事業」にあたるか、どんな条件で認めるかは、自治体の判断です。同じ仕事でも、自治体によって結論が違うことがあります。
  • 私立学校の先生は、これらの法律ではなく、勤め先の就業規則に従います。

この記事は一般的な説明です。自分の場合に認められるかどうかは、かならず管理職と所属の教育委員会に確かめてください。くわしくは現職教員の副業のルールと教員の副業と兼業許可の記事にまとめています。

許可の前にできる、3つの関わり方

  • 見る:フリースクールやオルタナティブスクールの公開イベント、授業公開、発表会を見に行く。
  • 学ぶ:休日のセミナーや、校外の先生のコミュニティに参加する。
  • 手伝う:無償のボランティアとして関わる。無償でも届け出が要る自治体があるため、事前に確かめる。

探究の学びを外から見る|NIJIN放課後プロジェクトスクール

「探究・プロジェクト」や「社会とつなぐ」に印をつけた先生は、学校の外で探究がどう行われているかを見ておくと、自分の教室に持ち帰れるものがあります。

NIJIN放課後プロジェクトスクールは、いまの学校に通う小中学生が、放課後・休日にオンラインで探究プロジェクトに取り組む場です。公式サイトでは、子どもが「好き」「やってみたい」を起点に、企画から実行までを自分で進めること、企業や地域の大人と一緒に取り組むこと、月に2回の発表会で社会に向けて発信することが紹介されています。学校の総合的な学習の時間で、テーマの決めさせ方や発表の場づくりに悩んでいる先生の参考になります。

8外へ出る道|学校の外で、やりたい教育をする

やりたい教育を1文にしてみて、「時間割そのものを子どもと決めたい」「少人数でじっくり関わりたい」「何か月も1つのテーマを追わせたい」というように、学校という仕組みの外でないと難しいものが中心にあるなら、学校の外で教える道も選択肢に入ります。

学校の外にある、教える場所

  • オルタナティブスクール・フリースクール:学校とは別の考え方で学びをつくる場。少人数で、子どもの興味から活動を組み立てるところが多くあります(オルタナティブスクールの先生になるには)。
  • 通信制高校・サポート校:高校生一人ひとりのペースに合わせた支援をします。
  • 塾・習い事・探究の教室:教える内容を自分で選びやすい場です。
  • 自分で場をつくる:教室を開く、事業を起こす道です(教員の起業ガイド)。

学校で感じた窮屈さを、外で形にした先生たち

公立小学校で算数専科や担任を務め、教員5年目で退職した菊地世恋さんは、当時の気持ちをこう話しています。「もちろん、教員という仕事は好きでした。しかし、学校教育の中では、自分らしさを発揮するのが難しいと感じていたんです。」いまはNIJINアカデミーのメタバース担任として子どもと向き合いながら、企業と連携する仕事も担っています(インタビュー)。

NIJINアカデミー 横浜泉校 教室長 きょーこさん

きょーこさん

小学校教員として14年間勤務 → NIJINアカデミー リアル教室「横浜泉校」教室長

生徒指導主任として学校全体を見ていたきょーこさんは、こう語っています。「『この子たちのために何ができるのか』——模索し続けても、学校という枠組みの中では答えが出ませんでした。」いまの教室では、その日に何をするかを子どもと一緒に決めているそうです。インタビュー記事を読む

下は、タツロー校長(NIJIN代表)のチャンネルにある、元小学校教員がフリースクールの教室長になった理由を紹介する動画です。学校の外で教えることを具体的に思い描く材料にしてください。

【不登校は才能】元小学校教員がフリースクール教室長になった理由|NIJINアカデミー千葉佐倉校
▶ タツロー校長|【不登校は才能】元小学校教員がフリースクール教室長になった理由|NIJINアカデミー千葉佐倉校
菊地世恋さん(せれん)

菊地世恋さん(せれん)

公立小学校で算数専科や3〜6年生の担任を経験/NIJINアカデミー メタバース担任

「もっと挑戦したいのに、若手だからと制限される。」

インタビューを読む

NIJINアカデミーの先生という働き方

NIJINは、不登校の小中学生のためのオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」を運営しています。その先生(メタバースクラスの担任)を募集しています。募集ページに載っている条件は次のとおりです。

働く場所完全フルリモート(在宅)
日数週3日から
必須の時間帯平日10:00〜11:00を週3日と、水曜12:00〜13:30
契約業務委託(副業・兼業のメンバーもいます)
給与の目安月20万円〜70万円(フルコミットの場合。担当する仕事と稼働時間によって決まります)。在宅で週数日なら月5万円程度から
教員免許応募の条件ではありません

募集ページには、見ているのは授業のうまさではなく「子どもへの向き合い方」だと書かれています。必須の時間帯が平日の日中にあるため、フルタイムで学校に勤めながら担任をするのは現実には難しく、学校を離れる、または勤務の形を変えたうえで選ぶ働き方です。くわしい仕事の内容はNIJINアカデミーの先生の募集ページで確かめてください。

外に出れば何でもできる、わけではない

学校の外にも、外なりの制約があります。公平に書いておきます。

広がるもの

  • 時間割や活動を子どもと決める自由
  • 少人数で一人ひとりと関わる時間
  • 企業や地域と組む身軽さ
  • 働く時間と場所の選びやすさ

手放すもの・増えるもの

  • 公務員としての身分と、それにともなう安定
  • 毎年決まって入る給与(業務委託は仕事の量で変わります)
  • 保護者と子どもに「選ばれる」必要
  • 仕組みを自分たちでつくる手間

収入や退職後の制度は、家計に大きく関わります。決める前に、いまの給与明細と募集条件を並べ、共済や年金のことは所属の共済組合などの窓口で確かめてください。

9迷ったときの決め方|3つの道の比べ方と、3か月の小さな実験

自分らしく働く道を探す教員が、やりたい教育を1文にしてノートに書き出すイメージ
やりたい教育は、頭の中に置いたままにせず、1文にして紙に書いておきます(イメージ)。

ここまでの3つの道を、1枚にまとめます。

 残る道両方に関わる道外へ出る道
合うのはやりたいことが教室・学校で決まることに多い人外でしかできないことを、まず確かめたい人やりたいことの中心が、学校の仕組みの外にある人
最初の一歩1時間だけ試す。校外の学びの場に入る見学する。無償で手伝う。兼業の決まりを確かめる募集条件を読む。働いている人の話を読む・聞く
変わらないもの身分、給与、学級の子どもたち身分、給与子どもと関わる仕事であること
気をつけること一人で抱えない。周りに先に共有する許可や届け出を先に確かめる。休む時間を削りすぎない収入と制度を数字で比べる。年度の区切りを考える
確かめる先学年の先生、管理職管理職、所属の教育委員会募集ページ、共済組合などの窓口

3か月の小さな実験

どの道が合うかは、考えるだけでは分かりません。3か月だけ、次の順で試してみてください。

  1. 1か月目:やりたい教育を1文にする。自分の教室で、1時間だけ試す。
  2. 2か月目:校外の学びの場に1回参加する。学校の外の教育の場を1か所見る。
  3. 3か月目:試したことを振り返り、「教室でできた」「学校に提案したい」「外でしかできない」に分け直す。

3か月後に「教室でできた」が増えていれば、残る道が合っています。「外でしかできない」が残り、しかもそれがいちばん大切なことなら、両方に関わる道や外へ出る道を、来年度に向けて調べはじめる時期です。年代ごとの考え方は教員のキャリアプランの描き方も参考になります。

自分らしく働く道を探す教員が、やりたい教育を1文にしてノートに書き出すイメージ
やりたい教育は、頭の中に置いたままにせず、1文にして紙に書いておきます(イメージ)。

10よくある質問

やりたい教育ができないのは、自分の力が足りないからですか?
そうとは限りません。学校では、教える内容の基準は国、年間の計画や行事は学校、進度や宿題は学年、というように決める人が分かれています。やりたいことが教室の外で決まることなら、一人の力ではすぐに変えられません。まず、どの層で決まることかを分けてみてください。
教員の理想と現実の差は、何年かたてば埋まりますか?
経験を重ねると、教室の中でできることは増えていきます。役割や学校が変わることで、提案できる範囲が広がることもあります。一方で、時間割や学級の人数のように、経験では変わらないものもあります。差の中身を分けて考えることが大切です。
新しい取り組みを提案しても、通りません。どうすればいいですか?
ねらい、試す範囲、うまくいかなかったときの戻し方、自分の学級での子どもの記録の4つをそろえて、小さく期間を区切った形で出してみてください。年度の計画を話し合う時期に合わせると、検討されやすくなります。
公立学校の教員は、学校の外で教える仕事をしてもいいのですか?
報酬を得て働くには、任命権者の許可が必要です(地方公務員法 第38条)。教育に関する他の職や事業については、本務に支障がないと認められた場合に従事できるという決まりがあります(教育公務員特例法 第17条)。認められるかどうかは自治体の判断なので、管理職と所属の教育委員会に確かめてください。
学校の外に出れば、やりたい教育は自由にできますか?
時間割や活動を決める自由は広がりますが、制約がなくなるわけではありません。保護者と子どもに選ばれる必要があり、収入の形も変わります。広がるものと手放すものを、並べて比べてください。
自分らしく働くために、まず何から始めればいいですか?
やりたい教育を「だれに・何を・どんな姿に」の1文にすることから始めてください。そのうえで、自分の教室で1時間だけ試す、校外の学びの場に参加する、という小さな一歩をおすすめします。
小学校と中学校で、相談できる場は違いますか?
NIJINの事業では、小学校の先生向けに授業力を磨く「授業てらす」、中学校の先生向けに学級経営や授業づくりを学び合う「中学校てらす」があります。どちらもオンラインで、学校の外の先生とつながれます。
辞めると決めていなくても、募集ページを見たり応募したりしていいですか?
見ることに問題はありません。条件を知ることは、いまの働き方と比べる材料になります。NIJINアカデミーの先生の募集ページには、応募したことを本人の同意なく現在の勤務先に伝えることはない、と書かれています。

11まとめ|理想は、手放さなくていい

「やりたい教育ができない」と感じるのは、理想を持って教壇に立っているからです。その理想は、手放さなくてかまいません。必要なのは、あきらめることでも、すぐに辞めることでもなく、理想を1文にして、実現できる場所を探すことです。

  • 教室で決められることは、1時間から試す。
  • 学校で決まることは、小さな提案、異動、研修で動かす。
  • 学校の外でしかできないことは、見学や兼業の確認から始め、必要なら外で教える道を調べる。

どの道を選んでも、子どもの前に立ってきた経験は生きます。自分らしく教えられる場所は、一つではありません。

学校の外にも、やりたい教育を形にできる場所があります。
NIJINで、子どもと向き合う仕事をしてみませんか。

エントリーする → 先生の仕事の内容はNIJINアカデミーの先生の募集ページ、ほかの職種は募集ポジション一覧でご覧いただけます。

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の兼業の可否、退職・転職・採用の結果や収入を保証するものではありません。法律の内容は、記事作成時にe-Gov法令検索で確認したものです。制度の運用は自治体や学校によって違うため、所属の教育委員会や管理職にご確認ください。体調に不安があるときは、医療機関へご相談ください。
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