この記事は、いますぐ辞めたいわけではないけれど、この先を考えはじめた先生に向けて書いています。答えを出すための記事ではなく、もやもやを言葉にするための記事です。「辞めるのが正解」とも「続けるのが正解」とも決めつけません。
目次
- 「このままでいいのか」が「辞めたい」とどう違うのか
- もやもやの正体を言葉にする5つの問いかけと、書き出し方
- 答えから分かる4つのタイプと、それぞれに合う次の一歩
- 身分を保ったまま学び直す・外へ出る公的な制度(条文と公式情報で確認)
- 学校の外に片足を置く方法と、外で教育を続ける働き方
1「このままでいいのか」は、辞めたいのとは違う
子どもはかわいい。授業がうまくいった日はうれしい。職場の人間関係も、ひどく悪いわけではない。それでも、帰り道にふと「この先もずっとこれを続けるのだろうか」と思う。
「教員 このままでいいのか」と検索する先生の気持ちは、「辞めたい」とは少し違います。いまが耐えられないのではなく、この先が見えないのです。
| 「辞めたい」 | 「このままでいいのか」 | |
|---|---|---|
| 向いている時間 | いま・明日 | 3年後・10年後 |
| 中心にある気持ち | つらい、限界、離れたい | 物足りない、不安、もったいない |
| まず必要なこと | 体と心を守る、原因を分ける | 気持ちを言葉にする、選択肢を知る |
| 急ぐ必要 | 体調によっては急ぐ | 急がなくてよい。ただし放っておかない |
もし、眠れない・食べられないといった状態が続いているなら、先に休むことと受診を考えてください。その場合は「教員を辞めたい」と思ったらの記事のほうが合っています。
そうでないなら、このもやもやは悪いものではありません。自分の人生を自分で考えはじめた合図です。

2もやもやが言葉にならない3つの理由
理由1:忙しくて、考える時間がない
学校の一日は、授業、休み時間の見守り、給食、掃除、会議、保護者への連絡と、切れ目なく続きます。考えごとは後回しになり、長期休みにやっと思い出す。その繰り返しで、何年も過ぎていきます。
心の負荷が小さくない仕事であることは、統計にも表れています。文部科学省の調査では、令和6年度に精神疾患で病気休職となった公立学校の教育職員は7,087人(全教育職員の0.77%)でした。
出典:文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」mext.go.jp
理由2:学校の外の働き方を、見たことがない
大学を出てすぐ教員になった先生は、学校以外の職場を知らないことがふつうです。比べるものがないと、「このまま」がよいのか悪いのかを測れません。
理由3:「子どもがいるのに、自分のことを考えるなんて」と感じる
まじめな先生ほど、自分のキャリアを考えることに後ろめたさを覚えます。けれど、先生が自分の人生を大切にしている姿は、子どもにとっても一つの学びです。考えることは、わがままではありません。
3もやもやの正体を言葉にする5つの問いかけ
ノートを一冊用意して、次の5つに答えてみてください。正しい答えはありません。一つの問いに5分、合わせて30分ほどが目安です。
問い1:「このまま」の「この」は、何を指していますか?
「このまま」と言うとき、頭に浮かんでいるものは人によって違います。次の中から、近いものに丸をつけてください。いくつ選んでもかまいません。
- 仕事の量と、自分の時間の少なさ
- 授業や学級づくりで、やりたいことができていない感じ
- 毎年同じことを繰り返していて、成長している実感がない
- 10年後の自分の姿(主任、管理職など)に、わくわくしない
- 学校の外の世界を知らないまま年を重ねることへの不安
- 収入や暮らし方、家族との時間
丸のついたところが、あなたのもやもやの「住所」です。
問い2:この1年で、いちばん心が動いた場面はどこですか?
うれしかったこと、くやしかったこと、どちらでもかまいません。3つ書き出します。そこに、あなたが仕事で大切にしているものが出ます。子どもの「分かった!」の顔か、行事をやりとげた学級の姿か、一人の子との対話か、同僚と授業をつくった時間か。
大切にしているものが、いまの働き方の中にどれくらいあるか。これが、もやもやの大きさを決めています。
問い3:職場の10年先輩を見て、「ああなりたい」と思えますか?
いまの道を進んだ先の姿は、職員室にいます。思えるなら、もやもやは一時的な疲れかもしれません。思えないなら、「何が違えば、なりたいと思えるか」を書いてみてください。働く時間なのか、授業の自由さなのか、学校の外とのつながりなのか。
問い4:それは、どこを変えれば変わりますか?
問い1〜3で出てきたことを、次の3つに仕分けます。
- 自分のやり方で変わること(仕事の進め方、学び方、相談の仕方)
- 学校や立場が変われば変わること(異動、校種、学年、分掌)
- 学校という仕組みの外でしか変わらないこと(働く時間と場所、教える内容の自由さ、評価のされ方)
3つ目に入るものが多い人ほど、学校の外の道を知っておく意味が大きくなります。
問い5:辞めずに、来月から試せることは何ですか?
最後の問いは、行動についてです。大きな決断ではなく、小さな実験を一つ決めます。校外の研修会に一度出てみる。学校の外で働く人に話を聞く。気になる仕事の募集要項を読んでみる。もやもやは、考えるだけでは晴れません。動いて確かめると、輪郭がはっきりします。
4【図解】答えから見える、4つのタイプ
5つの問いの答えを見返すと、いまの自分がどのあたりにいるかが分かります。
| タイプ | 合いやすい次の一歩 | この記事の章 |
|---|---|---|
| A 充電 | やらないことを決める。休みを取る。管理職に業務の相談をする | 5章 |
| B 磨きたい | 校外の学びの場に参加する。授業を見合う仲間をつくる | 5章 |
| C 広げたい | 大学院、海外派遣などの制度を調べる。学校の外の人と話す | 6章 |
| D 場を変えたい | 学校の外の教育の仕事を調べる。条件と戻る道を確かめる | 7章 |
5残る道|学校の中で変えられること
A・Bタイプの先生は、学校を離れなくても、もやもやを小さくできる可能性があります。
校外に、学びと相談の場を持つ
同じ学校の中だけで考えていると、見える景色は変わりません。NIJINが運営する授業てらすは、小学校の先生が授業力を磨くオンラインコミュニティです。中学校てらすは、全国の中学校教員が集まる無料の教員コミュニティです。ほかの学校の先生の実践に触れると、「自分の教室でもできること」が見つかることがあります。
異動・校種・役割を変える
公立学校には異動があります。学校が変わると、学年の組み方も、職員室の空気も、地域も変わります。希望の出し方は自治体によって違うため、管理職に確認してください。
「向いていないのでは」という気持ちが混ざっている方は、「教員に向いてない」と感じたらの記事で原因を分けてみてください。
6両方に関わる道|学校の外に片足を置く
Cタイプの先生に合うのは、身分を保ったまま外の世界に触れる方法です。公立学校の先生には、次のような制度があります。
| 制度 | 何ができるか | 身分・給与 | 確かめる先 |
|---|---|---|---|
| 大学院修学休業 | 国内外の大学院などで学び、専修免許状を取る。3年を超えない範囲 | 身分は保有。給与は支給されない | 所属の教育委員会 |
| 自己啓発等休業 | 大学等の課程の履修、または国際貢献活動。3年を超えない範囲で条例の定める期間 | 職を保有。給与は支給されない | 自治体の条例、教育委員会 |
| JICA海外協力隊 現職教員特別参加制度 | 開発途上国での協力活動。訓練と派遣を合わせて2年間 | 現職の身分を保持 | JICA、教育委員会 |
出典:文部科学省「大学院修学休業制度」mext.go.jp/地方公務員法 第26条の5(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp/JICA「現職教員特別参加制度」jica.go.jp
どの制度も、承認や推薦が必要で、条件は自治体ごとに違います。使えるかどうかは、所属の教育委員会に確認してください。
休日に、学校の外の教育に触れる
制度を使わなくても、できることはあります。フリースクールやオルタナティブスクールの公開イベントに行く、教育に関わる人が集まる場に参加する、無償のボランティアとして関わる、などです。報酬を得て働く場合は、兼業の許可などの決まりがあるため、現職教員の副業のルールの記事と所属の教育委員会で確認してください。

7外へ出る道|学校の外で教育を続ける
Dタイプの先生は、学校の外の教育を具体的に知ることから始めてみてください。知ったうえで「やはり学校がいい」と思えたなら、それも大きな収穫です。
学校の外にある教育の例
NIJINは、不登校の小中学生のためのオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」などを運営している会社です。下の動画では、代表のタツロー校長が、その考え方を話しています。学校の外でどんな教育が行われているかを知る、一つの材料にしてください。

「このままではいけない気がする」と感じた先生の言葉

廣井 裕子さん
通称:にけ/公立中学校の教諭を4年間 → 世界一周 → NIJINアカデミー メタバース担任・社会共創担当
にけさんは、インタビューの最後に、迷っている人へこう語りかけています。「もし心のどこかで『このままではいけない気がする』と感じている自分がいるなら、その小さな声を大切にしてください。」インタビュー記事を読む
小学校教員として14年間勤めた、きょーこさんは、生徒指導主任として学校全体を見渡したときのことを、「『学校』というシステム自体に窮屈さや苦しさを感じ、笑顔を失っていく子が増えている現実に直面しました」と語っています。いまはNIJINアカデミーのリアル教室の教室長です(インタビュー)。
働き方の例
- NIJINアカデミーの先生:在宅・週3日から。給与の目安は月20万円〜70万円(フルコミットの場合)で、担当する仕事と稼働時間によって決まります(募集ページ)。
- リアル教室の教室長:週1日から、9〜16時の間で5時間。教員免許は不要です(募集ページ)。
- そのほかの職種:募集ポジション一覧にまとまっています。
収入や成果を約束するものではありません。条件は募集ページで確かめ、いまの働き方と並べて比べてください。
8「続けるべきか」を決める時期の考え方
もやもやには、締め切りがありません。だからこそ、自分で区切りをつくることをおすすめします。
- 今月:5つの問いに答え、ノートに残す。
- 3か月以内:問い5で決めた小さな実験を一つやってみる。
- 次の長期休み:ノートを読み返し、タイプが変わっていないかを見る。
- 年度の区切りの半年前:残る・両方・外へ出るのうち、来年度に向けて一つ選ぶ。選ぶのは「来年度の過ごし方」で、一生の決断ではありません。
年度末に向けた動き方は、教員の転職はいつから始める?の記事が参考になります。迷いが「辞めるかどうか」まで進んだときは、教員を辞めるか迷っている先生へを読んでみてください。

9よくある質問
「このままでいいのか」と思うのは、教員に向いていないからですか?
教員を続けるべきか、辞めるべきか、どう決めればいいですか?
将来が不安です。教員の仕事はこの先どうなりますか?
辞める気はないのに、転職の情報を見てもいいのでしょうか?
身分を保ったまま、外の世界を経験する方法はありますか?
誰に相談すればいいですか?
教員のもやもやを、うまく言葉にできないのはなぜですか?
教員を続けるか迷っています。いつまでに決めればよいですか?
10まとめ|小さな声を、言葉にしておく
「教員はこのままでいいのか」というもやもやは、放っておくと、ある日「もう辞めたい」に変わることがあります。そうなる前に、5つの問いで言葉にしておくと、落ち着いて道を選べます。
答えが「このままでいい」なら、それは流されて続けるのとは違う、自分で選んだ「このまま」です。答えが「変えたい」なら、残る道・両方に関わる道・外へ出る道の中から、小さな一歩を一つ決めてください。
どの答えでも、子どもと向き合ってきた日々はなくなりません。
道を年代別に並べて考えたいときは教員のキャリアプランの描き方(学校の中と外、5つの道)、外へ出た人の実感は教員を辞めてよかった?元教員の声で見る得たもの・手放したもの、動き方の全体は教員の転職ガイド(転職先・進め方・時期)が参考になります。
学校の外にも、教育を続ける場所があります。
まずは、どんな働き方があるかを見てみませんか。
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- 地方公務員法 第26条の5(自己啓発等休業)(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- JICA海外協力隊「現職教員特別参加制度」jica.go.jp
- 授業てらす jugyoterrace.nijin.co.jp/中学校てらす msterrace.nijin.co.jp/先生キャリアコーチ senseicoach.nijin.co.jp
- NIJIN 採用サイト nijin.co.jp/recruit//NIJINアカデミー academy.nijin.co.jp


