特別支援学校の教員を辞めたい先生へ|支援の経験が生きる働き方7選

特別支援学校の教員を辞めたい先生へ|支援の経験が生きる働き方7選
執筆:NIJIN 採用チーム/読了目安:15分
特別支援学校の教員を辞めたいと感じるのは、あなたが向いていないからとは限りません。複数の先生で進める指導、一人ひとりの計画づくり、免許や異動のしくみなど、特別支援学校・特別支援学級ならではの事情が重なっていることが多いからです。原因を分けると、残る・異動する・外へ出る・両方に関わる道が見えてきます。

この記事は「辞めましょう」とすすめる記事ではありません。法律の条文と文部科学省の調査で、特別支援学校・学級の先生が置かれているしくみを確かめ、支援の経験が生きる働き方を7つ、同じ重さで並べます。特別支援学級の担任がしんどい、辞めたいと感じている先生にも読んでいただける内容です。

学校の外で教育を続ける働き方も、比較したい方へ仕事内容と募集条件を先に確かめられます。
NIJINアカデミーの先生を見る →
この記事で分かること
  • 特別支援学校・特別支援学級の先生がしんどくなりやすい6つの事情と、その背景にある制度
  • 特別支援学校の先生の免許状の保有状況と、「向いてない」と感じたときの原因の分け方
  • 異動・人事交流について、教育委員会がどんな方針を持っているか
  • 支援の経験が生きる7つの働き方(残る・外へ出る・両方に関わる)と、それぞれの注意点
  • 特別支援学校の教員から学校の外へ進んだ人の、実際の言葉

1特別支援学校の教員を辞めたいと思ったら|先に結論

子どもの小さな「できた」を見つけるのが好きで、この仕事を選んだ。それなのに最近は、朝の打ち合わせの前から気が重い。書類を前に手が止まる。そんな自分に気づいて、「特別支援学校 教員 辞めたい」と検索した方もいるでしょう。

先に結論をお伝えします。

  • 辞めたい気持ちは、子どもへの思いが足りないから生まれるのではありません。特別支援学校・学級には、通常の学級とは違うしくみがあり、その負担は外から見えにくいものです。
  • 「向いてない」と決める前に、原因を分けます。子どもとの関わりがつらいのか、大人どうしの連携がつらいのか、書類や体力の面なのか、準備が足りないまま任されているのか。どれかによって、打つ手は変わります。
  • 道は、辞めるか残るかの2つではありません。校内で担当を変える、校種をこえて異動する、関わり方を軽くする、学校の外へ出る、続けながら外にも関わる。支援の経験は、どの道でも生きます。

辞めたい理由を広く整理したい方は「教員を辞めたい」と思ったら読むを、辞めるか残るかの決め方は教員を辞めるか迷う先生へをご覧ください。この記事は、特別支援学校・特別支援学級ならではの事情に絞って考えます。

2特別支援学校・学級ならではの6つの事情

特別支援学校の教員を辞めたいと感じ、放課後の教室で窓の外を静かに見つめる20代の先生(イメージ)
しんどさの理由は、あなたの力不足ではなく、仕事のしくみの中にあることが少なくありません(イメージ)。

「教員がつらい」という記事は多くありますが、特別支援学校・学級の先生の悩みは、そこに書かれていないところにあることが少なくありません。ここでは6つに分けます。子どもや保護者に原因があるという話ではなく、仕事のしくみの話です。

① チームで進める指導複数の先生で1つの学級を受け持つ。考え方の違いを毎日すり合わせる
② 一人ひとりの計画と記録個別の教育支援計画、個別の指導計画、日々の記録。人数分の書類がある
③ 体を使う支援と、気を張る時間介助や見守りが続き、目を離せない時間が長い
④ 保護者・関係機関との連携医療、福祉、進路先など、学校の外とのやり取りが多い
⑤ 免許と専門性への不安学ぶ時間がないまま任され、「これでいいのか」と迷う
⑥ 異動と校内での立場校種をこえた異動がある。特別支援学級では相談相手が少ないことも
特別支援学校・学級の先生がしんどくなりやすい6つの事情(編集部の整理)。1つだけの人もいれば、いくつも重なっている人もいます。

① チームで進める指導|毎日が「すり合わせ」

特別支援学校では、複数の先生がチームになって1つの学級や学習グループを受け持つ形がよく見られます。子どもを多くの目で見られる良さがある一方で、声のかけ方、待つ時間の長さ、どこまで手を貸すかといった考え方の違いが、毎日の場面にそのまま出ます。

経験の長い先生と考えが合わないとき、若手の先生は意見を言いにくいものです。「子どもは好きなのに、大人との関係で疲れる」という声が出やすいのは、このしくみがあるからです。人間関係の整理は教員の人間関係がつらいときにでくわしく扱っています。

② 一人ひとりの計画と記録

学校教育法施行規則第134条の2は、校長は特別支援学校に在学する子どもについて個別の教育支援計画を作成しなければならないと定めています。医療・保健・福祉・労働などの関係機関と連携して行う、長い目での支援の計画です。作るときには、本人や保護者の意向を踏まえ、関係機関と情報を共有することも定められています。この決まりは、小中学校の特別支援学級の子どもにも準用されます。

実際に書くのは、多くの場合、担任の先生です。これに個別の指導計画や日々の記録が加わります。一人ひとりを大切にするための書類ですが、人数分を作り、見直し、説明するには時間がかかります。「子どものための書類なのに、子どもと向き合う時間が減っていく」と感じるのは、おかしなことではありません。

③ 体を使う支援と、気を張る時間

学校教育法第72条は、特別支援学校の目的を、小学校などに準ずる教育を行うとともに、障害による学習上または生活上の困難を克服し、自立を図るために必要な知識技能を授けることとしています。そのため、授業だけでなく、食事や移動、着替えなど生活の場面も大切な学びの時間になります。

体を使って支える場面が多い学校や学部では、腰や肩に負担がかかります。安全のために目を離せない時間が続くと、休み時間も気が休まりません。医療的ケアが必要な子どもがいる学級では、看護師など他の職種と連携して進める場面もあります。「体力が続くか不安」という気持ちは、仕事の中身から生まれるものです。

④ 保護者・関係機関との連携

毎日の連絡帳や送り迎えのときの会話を通じて、保護者と細かく情報を共有します。病院、福祉の事業所、進路先とのやり取りもあります。子どもを中心に多くの大人がつながることは支援の土台ですが、その窓口が担任1人に集まると、負担は大きくなります。

⑤ 免許と専門性への不安

教育職員免許法第3条第3項は、特別支援学校の教員は、特別支援学校の免許状と、各部に相当する学校の免許状を持つ者でなければならないと定めています。ただし同法の附則第15項は、幼稚園・小学校・中学校・高等学校の教諭の免許状を持つ人は、「当分の間」、特別支援学校の教諭などになることができるとしています。

86.8%文部科学省の令和7年度の調査では、全国の特別支援学校の先生(73,346人)のうち、担当している障害種などの特別支援学校教諭等免許状を持っている人は86.8%(63,684人)でした。言いかえると、担当する障害種の免許状を持たずに働いている先生も一定数いるということです。

同じ調査では、免許状を持たない先生のために、多くの教育委員会が校内研修や、特別支援教育コーディネーターによる校内の支援体制づくりに取り組んでいることも報告されています。「学ぶ前に任されて不安だ」と感じるのは、あなたの努力が足りないからではなく、制度の上でも起こることです。

⑥ 異動と校内での立場

同じ調査によると、特別支援学校と小・中・高等学校などとの人事交流を推進する方針が「ある」と答えた教育委員会は、47都道府県のうち43、調査対象の15政令指定都市のうち13でした。方針の例として、採用後の最初の異動で別の校種への異動を進める、特別支援学校に配置された新規採用の先生を、最初の異動で小中学校の特別支援学級の担任に配置する、といった回答があがっています。

校種をこえた異動は、多くの自治体で「あるもの」として考えられています。環境を変える道が制度の中にあるということでもあります。

特別支援学級の担任には、別の事情もあります。次の表のとおり、1学級の子どもの数の標準は少なく決められていますが、学年や学ぶ内容の違う子どもを同時に受け持つことがあり、学校によっては特別支援学級の担任が校内に1人か2人だけです。相談できる相手が近くにいないことが、しんどさを大きくします。

しくみ決まりの内容根拠
特別支援学校(小学部・中学部)の1学級の人数6人を標準とする。障害を2つ以上あわせ持つ子どもの学級は3人公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律 第3条
小中学校の特別支援学級の1学級の人数8人を標準とする同じ法律 第3条

なお、全国には特別支援学校が1,191校あり、155,140人の子どもが在籍しています(令和6年5月1日現在)。

出典:e-Gov法令検索「学校教育法」laws.e-gov.go.jp/「学校教育法施行規則」laws.e-gov.go.jp/「教育職員免許法」laws.e-gov.go.jp/「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」laws.e-gov.go.jp/文部科学省「令和7年度特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状保有状況等調査結果」mext.go.jp/文部科学省「特別支援教育資料(令和6年度)」mext.go.jp

3「向いてない」と感じたら|原因を分けて考える

「特別支援学校の教員に向いてない」「支援学級の担任は自分には無理だ」。そう感じたときは、いったん立ち止まって、何がつらいのかを分けてみてください。向き・不向きの問題に見えて、実は環境や準備の問題であることがよくあります。

いま感じていること考えられる背景まず確かめること
子どもの変化が見えず、手応えがない成長の歩みがゆっくりで、毎日の中では気づきにくい半年前の記録や写真と比べる。小さな変化を1日1行書き残す
どう関わればよいか分からない担当する障害種について学ぶ機会がないまま任されている校内研修、認定講習、特別支援教育コーディネーターへの相談が使えるか
同じ学級の先生と合わないチームで進める指導で、考え方の違いが毎日表に出る相手が変われば楽になりそうか。学年主任や管理職に話せるか
書類に追われて余裕がない一人ひとりの計画と記録が、人数分ある書式や分担を見直せるか。学年や学部でそろえて減らせるものはないか
体がもたない介助や見守りが続く学部・学級を担当している担当の学部や学級の希望を出せるか。体調は医療機関に相談する
校内で分かってもらえない特別支援学級の担任が少なく、相談相手がいない校外の研修や、他校の特別支援学級の先生とつながる場があるか

表の右の列で「変えられそうだ」と思えるものがあれば、原因は向き・不向きより環境に近いところにあります。どれを変えても気持ちが動かないときは、仕事そのものとの相性を考える段階かもしれません。見きわめ方は「教員に向いてない」と感じたらで、原因を3つに分けて説明しています。

忘れないでほしいこと:子どもの実態を見て、目標を立て、関わり方を変え、記録して見直す。チームで話し合い、保護者や関係機関とつなぐ。あなたが毎日していることは、どの教育の場でも求められる力です。つらさの中にいると、自分の力は見えにくくなります。

4辞める前に確かめたい5つのこと

特別支援学級の担任を辞めたいか迷いながら、机で手作りの教材を準備し考えを整理する30代の先生(イメージ)
何がつらいのかを書き出して分けると、変えられることと変えにくいことが見えてきます(イメージ)。

辞めるかどうかを決める前に、次の5つを確かめてみてください。全部に答えが出なくてもかまいません。答えられなかったところが、次に調べることです。

  • つらさの中心は、2章の6つの事情のうちどれか(1つに絞れなくてもよい)
  • それは、担当の学部・学級や、一緒に組む先生が変われば軽くなりそうか
  • 来年度の希望(担当、校内の役割、異動)を、面談や調書で具体的に伝えたか
  • 自分の自治体では、校種をこえた異動や人事交流がどう行われているか
  • 子どもと関わる仕事そのものは、これからも続けたいか

最後の問いに「続けたい」と答えられるなら、道は学校の中にも外にもあります。「いまは分からない」という答えも、りっぱな答えです。

眠れない、食欲がない、朝になると体が動かないといった状態が続いているときは、進路の整理より先に、体と心を守ることを優先してください。この記事は、状態を見分けたり判断したりするものではありません。医療機関のほか、公立学校共済組合の健康相談事業(組合員と被扶養者向け)や、厚生労働省の働く人のメンタルヘルスのポータルサイト「こころの耳」に相談窓口の案内があります。受付の時間や利用のしかたは、それぞれの公式サイトで確かめてください。休暇や休職の手続きは、勤務先や任命権者の教育委員会にご相談ください。

出典:公立学校共済組合「心と体の健康情報」kouritu.or.jp/厚生労働省「こころの耳」kokoro.mhlw.go.jp

5支援の経験が生きる働き方7選

特別支援学校の教員を辞めたい気持ちと今後の働き方を、明るい部屋で同僚に相談する20代の先生(イメージ)
1人で抱えず、信頼できる人と話しながら整理すると、次の一歩を選びやすくなります(イメージ)。

ここからは、特別支援学校・学級での経験が生きる働き方を7つ並べます。①〜③は学校に残る道、④〜⑥は学校の外へ出る道、⑦は両方に関わる道です。どれが正しいということはありません。

働き方どんな形か生きる経験気をつけること
① 校内で担当を変える学部、学級、校内の役割の希望を出すいまの学校で積んだ子ども理解決めるのは校長。希望どおりになるとは限らない
② 校種をこえて異動する特別支援学校から小中高へ、特別支援学級から特別支援学校や通常の学級へ個に応じた指導の引き出し異動の決まりは自治体ごとに違う
③ 関わり方を軽くする非常勤講師や支援員として学校に関わる子どものそばで支える力収入と身分が変わる。募集は自治体ごと
④ 福祉の現場へ児童指導員など、子どもの生活を支える仕事生活場面での支援、関係機関との連携資格の要件や働く条件は、求人ごとに確かめる
⑤ 不登校の子の学びの場へフリースクールなどで、学校が合わない子に関わるその子のペースに合わせる姿勢運営のしかたや待遇は、場によって大きく違う
⑥ オンラインで少人数・1対1自宅から、少人数のクラスや1人の子に伴走する一人ひとりの計画づくり、保護者との関係づくり体を使う支援や対面の関わりはできない。業務委託が中心
⑦ 続けながら外にも関わる教員を続けつつ、学校の外の学びの場に関わる学校と外の両方を知る目報酬を得る場合は兼業の決まりがある

① 校内で担当を変える

学部や学級が変わると、子どもの様子も、一緒に組む先生も、体を使う場面の多さも変わります。つらさの中心がチームや体力の面にあるなら、まず来年度の希望を具体的に伝えることから始められます。

② 校種をこえて異動する

2章で見たとおり、多くの教育委員会が特別支援学校と小・中・高等学校などとの人事交流を進める方針を持っています。特別支援学級の担任がしんどい先生にとっては、チームで指導できる特別支援学校への異動が合う場合もあります。希望の出し方や時期は自治体によって違うので、管理職や教育委員会の案内で確かめてください。

③ 関わり方を軽くする

常勤の担任をいったん離れ、非常勤講師や支援員として学校に関わる道もあります。計画づくりや分掌の負担が軽くなり、子どもと関わる時間に集中しやすくなります。一方で、収入や身分は大きく変わります。支援員の仕事内容や資格、給料の目安は学習支援員(学校支援員)とは?にまとめています。

④ 福祉の現場へ

子どもの生活を支える福祉の仕事にも、教員の経験は生きます。たとえば、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第43条は、児童指導員の資格の1つとして、幼稚園・小学校・中学校・高等学校などの教諭の免許状を持つ人で、都道府県知事が適当と認めたものをあげています。学校とは勤務時間も役割も違うので、見学や求人票で、仕事の中身と条件を確かめてから考えてください。

⑤ 不登校の子の学びの場へ

学校に行きづらい子どもが学ぶフリースクールなどでは、決まった進め方に子どもを合わせるのではなく、その子のペースから始めます。これは、特別支援学校・学級の先生が毎日していることと重なります。仕事の種類や関わり方は不登校支援の仕事とは?にまとめています。ただし、不登校の子の学びの場は、特別支援教育や療育の場とは目的がちがいます。同じやり方がそのまま通じるわけではない点には注意が必要です。

⑥ オンラインで少人数・1対1

自宅から、少人数のクラスや1人の子に関わる働き方です。通勤がなく、体への負担は小さくなります。そのかわり、体を使って支えることや、同じ場所にいるからこそできる関わりはできません。くわしくは6章で、NIJINアカデミーの例を紹介します。

⑦ 続けながら外にも関わる

辞めるかどうかを決める前に、学校の外に小さな足場を持つ方法です。報酬を得る場合は決まりがあります。地方公務員法第38条は、任命権者の許可を受けなければ、報酬を得て事業や事務に従事してはならないと定めています。教育公務員特例法第17条は、教育に関する他の職や事業に、本務に支障がないと任命権者が認める場合に従事できると定めています。始める前に、必ず管理職に確かめてください。

出典:e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」laws.e-gov.go.jp/「地方公務員法」laws.e-gov.go.jp/「教育公務員特例法」laws.e-gov.go.jp

7つを並べても決めきれないとき

1人で考えていると、同じところを回ってしまうことがあります。話しながら整理する方法もあります。

先生キャリアコーチの面談の様子
NIJINの事業先生キャリアコーチ教員のキャリア転換に特化した、伴走型のコーチングです。「辞めるか、続けるか。その前に、体験する。」を掲げ、コーチング・メンタリング・キャリアダイブの3つのプログラムで、強みを知り、実際の働き方を体験します。教員を続けるか、新しい道へ進むかは、自分で選びます。先生キャリアコーチを見る →

公式サイトには、「教員の仕事は嫌いじゃないが、このままでいいのか迷っている」といった悩みが例としてあげられています。よくある質問には、転職するか決めていない段階でも相談でき、無理に転職をすすめることはないこと、平日の夜や土日など学校勤務に合わせて日程を調整できることが書かれています。

学校の外の教育の仕事を、まず見てみる少人数のクラスを持つ先生、1対1で伴走する先生など、NIJINの募集職種と働き方を確かめられます。
募集職種を見る →

支援の経験を求人票と照合する|資格と経験を分ける

特別支援学校や学級での経験は、そのまま別職種の資格になるわけではありません。一方で、一人ひとりに合わせて教材を変える、複数の支援者と方針をそろえる、記録から次の関わりを考えるといった行動は、応募先の仕事と具体的に比べられます。職種名の印象だけで選ばず、求人票の業務と応募要件を別々に確認しましょう。

経験の例応募先の業務との接点を探す別に確認する条件
教材や説明方法の調整教材制作、個別学習の支援、研修資料の改善担当する対象・教材形式・必要な操作スキル
チーム内の記録と共有支援記録の作成、担当者間の引き継ぎ利用する記録システム・情報管理の手順
保護者・関係者との調整相談内容の整理、面談日程や連絡の調整専門資格の要否・一人で判断する範囲・相談体制

伝え方は「特別支援の専門家として何でも対応できます」ではなく、「理解の仕方が違う子どもに合わせ、説明する順番や視覚的な手がかりを調整しました。応募先で使う教材や支援の進め方を学び、チームで記録を共有しながら取り組みたい」のように、実際の行動と学ぶ必要があることを分ける形です。これは編集部が作成した例文です。実際に担っていない医療・心理・福祉の業務まで経験したように書かないようにします。

求人に専門資格や実務経験の指定がある場合は、その条件を優先してください。自分の経験が指定に当てはまるか曖昧なら、応募前に採用窓口へ確認します。経験を応募書類へ整理するときは、教員の職務経歴書の基本項目と例文で、担当範囲と工夫を分けて書く手順も確認できます。

6学校の外で、一人ひとりに合わせる教育を続ける道

7つの働き方のうち⑤と⑥にあたる例として、NIJINを紹介します。NIJINは、不登校の小中学生が通うオンラインのフリースクール「NIJINアカデミー」などを運営する会社です。

学校の外の学びの場で、子どもがどんな思いで過ごしているのか。小学5年生との対談を動画で紹介します。

「大事にしてくれる人は学校の外にもいる」友達関係で不登校になった小学5年生が語る|校長×小学生の本音対談|NIJINアカデミー▶
▶ タツロー校長|「大事にしてくれる人は学校の外にもいる」友達関係で不登校になった小学5年生が語る|校長×小学生の本音対談|NIJINアカデミー

はじめにお断りしておくと、NIJINアカデミーは、特別支援教育や療育を行う場ではありません。メタバース(インターネット上の校舎)で学ぶ場なので、体を使った支援もできません。そのうえで、「一人ひとりに合わせる」という経験が生きる仕事が2つあります。

  • NIJINアカデミーの先生(メタバースクラス担任):学年の違う子どもが集まる8人制の少人数クラスを、自宅から担任します。完全フルリモートで週3日から、契約は業務委託です。週2回のクラス会議、子どもの「ありたい姿」に合わせた学習計画づくり、年3回の三者面談、月4回以上の自分の得意を生かした授業が主な仕事です。
  • 専任サポートの先生:不登校や集団への参加に不安がある子どもに、1対1で伴走します。週1回のオンライン面談と日常のメッセージでの対話が基本で、週1日から始められます。募集ページには、教えることより、まず聴くこと、一人ひとりに合わせたサポートの計画を立てて実践することが書かれています。
一人ひとりの実態を見る目→ 日々の声かけと見守り、「ありたい姿」に合わせた学習計画
計画を立て、見直す力→ 一人ひとりに合わせたサポートの計画づくりと実践
保護者との関係づくり→ 年3回の三者面談と、日常の相談への対応
チームで動く経験→ 毎週の全体会議やチーム会議での、関わり方の共有
特別支援学校・学級で身につけた力と、NIJINアカデミーの仕事のつながり。右側は募集ページに書かれている仕事内容です。

良いことだけではありません。どちらも業務委託で、報酬は担当する仕事によって変わります。専任サポートの報酬は、募集ページによると生徒1人につき月額13,200円です。担任の募集ページにも、自由な分、自分で環境をつくる主体性が必要だと書かれています。公立学校のような身分の安定とは性質が違います。公立学校に在職したまま関わりたい方は、5章の⑦の兼業の決まりを先に確かめてください。

特別支援学校・学級を経験して、学校の外へ進んだ人の声

よっちゃん(市川芳彦さん)のインタビュー記事の写真

よっちゃん(市川 芳彦さん)

小学校・中学校・特別支援学校の教員として10年間勤務/NIJINアカデミー メタバース担任

「特別支援学校で出会った子どもたちは素直で愛らしく、一人ひとりの成長に寄り添う毎日はとても充実していました。」「一方で、教員の長時間労働や古くから続く慣習に疑問を感じ、苦しむ時期もありました。」

よっちゃんのインタビューを読む

よっちゃんは、仕事そのものには「教員こそ自分の天職だ」と思えるほどのやりがいを感じていたと話しています。退職を決めた理由は、家族の夢を支えたいという、別の願いでした。子どもが好きなまま、働き方を選び直した歩みです。同じインタビューでは、オンラインでは相手の表情が見えにくく、本当の気持ちを読み取るのが難しいとも話しています。

ハイジさんのインタビュー記事の写真

ハイジさん

公立の小中学校に8年間勤務(公立小学校、中学校特別支援学級の教員)/NIJINアカデミー クラス担任・校舎長・広報

「学校現場にいた時は、ただ目の前の行事を『こなす』だけで精一杯だった」「仕事の9割は、時に辛くて頭を悩ます課題で占められています。」

ハイジさんのインタビューを読む

ハイジさんは、子どもたちの笑顔につながった瞬間の、残り1割のやりがいが心を満たしてくれるとも話しています。外へ出た先が楽なわけではないこと、それでも選んだ理由があることが分かる言葉です。

7よくある質問

特別支援学校の教員を辞めたいと思うのは、甘えでしょうか?
甘えではありません。チームでの指導、一人ひとりの計画づくり、体を使う支援、関係機関との連携など、特別支援学校には外から見えにくい負担があります。まずは何がつらいのかを分け、変えられるところがあるかを確かめてください。
特別支援学校の免許状を持っていません。向いてないのでしょうか?
免許状の有無と向き・不向きは別の話です。教育職員免許法の附則は、小中高などの免許状を持つ人が「当分の間」特別支援学校の教諭などになれると定めています。文部科学省の令和7年度の調査でも、担当する障害種などの免許状を持つ先生は86.8%でした。学ぶ機会を校内や教育委員会に確かめてみてください。
特別支援学級の担任がしんどいです。通常の学級に戻れますか?
校内の担当は校長が決めるため、戻れるかどうかを一律にはお答えできません。まずは、来年度の希望を面談や調書で具体的に伝えてください。何がしんどいのか(相談相手がいない、学年の違う子を同時にみる難しさなど)を合わせて伝えると、体制の見直しにつながることがあります。
特別支援学校から小学校や中学校へ異動できますか?
文部科学省の令和7年度の調査では、47都道府県のうち43の教育委員会が、特別支援学校と小・中・高等学校などとの人事交流を推進する方針があると答えています。ただし、対象や年数などの決まりは自治体によって違います。勤務先の管理職や教育委員会の案内で確かめてください。
NIJINアカデミーは、特別支援教育を行う場ですか?
いいえ。NIJINアカデミーは、不登校の小中学生が通うオンラインのフリースクールで、特別支援教育や療育を行う場ではありません。少人数のクラスや1対1で、一人ひとりに合わせて関わる仕事がある、という点で経験が生きる場として紹介しています。
教員を続けながら、学校の外の仕事に関わることはできますか?
公立学校の先生が報酬を得て働く場合は、地方公務員法第38条により任命権者の許可が必要です。教育に関する仕事については、教育公務員特例法第17条に定めがあります。許可の考え方は自治体によって違うので、始める前に必ず管理職に確かめてください。

8まとめ|支援の経験は、場所を変えても残る

特別支援学校の教員を辞めたいと感じるのは、子どもへの思いが足りないからではありません。最後に、この記事の内容を確認リストにします。できるところから1つずつ進めてみてください。

  • 6つの事情のうち、自分のつらさの中心がどれかを選んだ
  • 「向いてない」を、子ども・大人・書類・体力・準備・校内の立場に分けて考えた
  • 来年度の担当や異動の希望を、具体的な言葉にした
  • 自分の自治体の異動・人事交流の決まりを調べた
  • 7つの働き方から、気になるものを1つ選んで調べはじめた
  • 体調が気になるときは、進路より先に休むことと相談することを選んだ

学校に残っても、異動しても、外へ出ても、一人ひとりの子どもを見てきた経験はなくなりません。大切なのは、何がつらいのかを確かめて、自分で選ぶことです。

学校の外にも、一人ひとりに合わせて関わる仕事があります。
少人数のクラスや1人の子と、じっくり向き合う働き方です。

エントリーする → まず仕事の内容を知りたい方はNIJINの採用サイトで募集職種を見るか、募集ポジション一覧をご覧ください。

あわせて読みたい|この先の働き方に迷う先生へ

「教員を辞めたい」と思ったら読む
「教員を辞めたい」と思ったら読む|理由の整理と学校の外で教育を続ける道校種を問わず、辞めたい理由を広く整理したいときに。
教員を辞めるか迷う先生へ
教員を辞めるか迷う先生へ|決める前に確かめたい7つのことと判断の軸辞めるか残るかを、自分の軸で決めたいときに。
「教員に向いてない」と感じたら
「教員に向いてない」と感じたら|辞める前に原因を3つに分ける見きわめ方向き・不向きなのか、環境なのかを見きわめたいときに。
不登校支援の仕事とは?
不登校支援の仕事とは?種類・在宅でできる働き方と未経験から関わる方法学校が合わない子と関わる仕事の種類を知りたいときに。

あわせて読みたい|特別支援学校・学級を経験した元教員の声

特別支援学校などで10年間勤めたよっちゃん
息子のスノーボード挑戦を支えたい。元教員が選んだメタバース教育の仕事|NIJINアカデミー小学校・中学校・特別支援学校で10年間勤めた、よっちゃんのインタビュー。
公立の小中学校に8年間勤めたハイジさん
公立小学校、中学校特別支援学級の教員の安定を捨てて出会えた世界『私の挑戦が、全国の子ども達のHAPPYに直結すると信じて。』「こなす」日々から、価値をつくる毎日へ進んだハイジさんのインタビュー。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の勤務条件や健康状態についての判断を示すものではありません。体調は医療機関や相談窓口へ、異動・兼業・退職の手続きは勤務先や任命権者の教育委員会へご相談ください。数字と制度は記事作成時に公式資料で確認したものです(免許状の保有状況は令和7年度調査、学校数と在籍者数は令和6年5月1日現在)。6つの事情、原因の分け方、5つの確かめること、7つの働き方は編集部による整理です。
この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!